人気ブログランキング | 話題のタグを見る

narcia

nekoya2010.exblog.jp ブログトップ

干し物をとりこむ

今日は水平線がはっきりとわかります。


空が暗くて海があかるくて。


空が暗いのは、あそこからあそこまで

雨が降っているからなのでは。

それもそうとうな大雨なのでは。

しかもこっちに来るのでは。


いつもの海産物干し場の横で、小走りになります。

干し場のみなさんもせわしげに魚介を取り込んでいます。


串を打ってぴんとまっすぐになった真っ白いスルメイカが

ずらずらずらずら道沿いに吊り下げられています。

小さいワイシャツの行列のようです。


# by otenki-nekoya | 2014-11-30 21:45 | 散歩

海鳥に似ている

海沿いの道のところどころに

県外ナンバーの車がとまっています。


水平線を見に来たのか。


日射しが暑いくらいの日和なのですが、

あいにく白く光る雲が空を覆い、

白く光る海とのさかいめは茫漠としています。


水平線はあのあたり──


指差した線よりだいぶ上を船が通ります。


‥‥まちがえた。


自分の居る高さによって違うので、

いつも見ていても水平線の位置を当てるのは意外と難しい。


連休ですが、月曜なのでたくさんの漁船が出て働いています。

かたまっているところに、お目当ての獲物がいるのでしょう。


黒い船団が、銀色の空を漂うようです。


# by otenki-nekoya | 2014-11-24 22:20 | 散歩

とび、とぶ、とべ

ベランダの上から下へ垂直に、

トビが腹を見せて舞い降ります。


そのまま地面より下まで飛び、

川面で折り返して垂直に、

背を見せて舞い上がる。


紙ヒコーキみたい。


再びベランダに接近します。


これが食べたいのかな。

小さなざるに広げたシラス干し。

いいにおいがします。


朝どれ釜揚げちりめんが余ったので、

ベランダで干していたのです。


でも、猛禽の嘴でシラスは食べられまい。

第一、こんなに人に近くても野生は野生、

餌をあげるわけにはいかないのです。



昔、祖父が庭でトビを放し飼いにしていました。

ピーピー、ピーヒョロ鳴くから名前はピーちゃん。


餌は豚のバラ肉で、全力疾走で食べに来ました。

飛べないのです。ヒナの時、巣から落ちて。



豚バラ肉は御馳走だけど、

君はそんなもの食べなくていい。


シラスをあきらめた若いトビは、

川の上に飛んで来た銀色に光る物をキャッチして、

もちろん空飛ぶ魚なんていないのでリリースして、

そのまま舞い上がって行きました。


風の強い日なのです。

川岸のススキの綿毛が時折雪のように

きらきら光りながら飛んでゆきます。



# by otenki-nekoya | 2014-11-18 22:08 | ベランダ

水平線のために

十月にはじまったTVドラマで

ヒロインが語る「野望」のひとつが


──水平線を見たい


島に囲まれた島の高校生なのです。


たまたま通りがかりにその台詞を聞いた連れが、

「このへんなら逆に」


──島を見たい


たしかに。

このあたりの海岸から見えるのは

山の他は海と空の水平線ばかりで、

いけどもいけども島影一つありません。


電車に乗ると、周りの乗客が

「わあ、地球が丸い!」と叫んでいるほどです。



前回、大学生になって島を出たヒロインが

旅先で水平線を見ながら

「はしからはしまで水平線っていうのが見たい」

と、少し野望を大きくしていました。


たまたま通りがかりにその台詞を聞いた連れは、

そのまま通り過ぎて行きました。



日曜の朝、いつも自転車で川沿いや海岸沿いを

走って来る連れの帰りが少し遅くなりました。


隣村の台地へ行ったのだそうです。

台地?登ったんですか?自転車で。


「登りきれなかった。途中で降りて来た」


自分の脚の力だけではなかなか辿り着けないでしょう、

てっぺんまでは


‥‥。

もしかして、見たかったのですか。


はしからはしまでの水平線が。



# by otenki-nekoya | 2014-11-16 22:42 | 散歩

あきのかぜ

ベランダから見下ろすと


センダンの葉が落ちて金色の実がずっしりとみのり

小さな川の水は澄み対岸の駐車場はがらんとして

ぽつんとまっさらな


──お墓が


蒼天から降りて来たように忽然と

秋風にみがかれたようにしらじらと


‥‥会社の駐車場に墓石?



何事かというと。

毎年十一月中旬の週末、お向かいの会社ではフェアを行います。


敷地いっぱいに金属ポールを組んだテント屋根を並べ

さまざまな飲食物や農産物や商品の出店を広げます。

川沿いの駐車場は臨時のフードコートとバンド演奏のステージとなり、

例年ならこのあたりでは一番気候の良い頃で、大勢の人が訪れます。


クレーンを使用するような展示商品は、

会場設営の前に搬入を済ませておかねばなりません。

例えばこんな‥‥墓石。



常になく冷たい秋風に吹かれ

ベランダからぴかぴかの墓石を眺めます。


『奥の細道』に秋風と墓の句がありましたね。

墓ではなく塚でしたっけ。


 塚も動け 我が泣く声は 秋の風

                  芭蕉



翌朝、『ゲラゲ▽ポーの歌』をスピーカーで流しながら

秋風の中向かい岸のフェアは賑やかにはじまりました。



# by otenki-nekoya | 2014-11-15 16:42 | ベランダ
line

日記


by otenki-nekoya
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite