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ひなた観音

里を囲む山はいちばん奥ひとつだけが白かったのに
今日はずっと手前の山が白くなっています。

海沿いではまるまるとしたイワシが目を貫かれ
ずらりとつり下げられて乾いた風に干されています。

冷たい風を避けて住宅地の路地を歩きます。
山の向こう側の向こう側の向こう側は
大変な事になっているでしょう。
夜のニュースで映像が出ると思いますが。

「屋根に上って雪を降ろすの?こわいね」
二階の屋根です。
「二階‥‥」
高い所の苦手な連れは聞くだけで脚がすくむようです。

そういえばこのあたりの旧い家の母屋は平屋が多いですね。
「段梯子を降ろせば上にあがれるよ」
それは貯蔵庫や蚕室で、居室ではないでしょう。


私が小さい頃住んでいた町では冬になると窓を厚い木の板で覆い
雪に埋もれる一階は地下室のようになりました。
だからどこも日があたるように二階建てで──

日はあたらない。おおむね冬の空は曇っています。
でも積もった雪が光るので、降っている時以外は
とても明るかった印象があります。
真っ白な中を遊び回りながら、コドモは楽しいからいいけれど、
ゆきかきやゆきおろしをするオトナの人たちはたいへんだなあ、

きっとそのうち、雪が降っても積もらない道や屋根が出来るから
だいじょうぶ!と思っていました。


「できなかったね」
技術が目覚ましく発展して行く中、日陰に残る雪のように。

影の落ちる路地で、日の当たるところを伝って歩きます。
明治に打ち壊された寺から、
からくも運び出されて難を逃れたという
重文の観音様がそこの小さなお堂に

「‥‥やっぱりこういうところがあったかいんだなあ」
お堂の格子戸の下の段にぴったり身を寄せ
黒いお面を斜にかぶったようなブチ模様の猫が
正面から射す冬日にあたって
溶け残った雪のように白く光っています。
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by otenki-nekoya | 2014-01-19 22:21 | 散歩
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日記


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