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えびすをさがす

正月二日だというのに、
真っ青な海の上に何隻も船が出ています。

今日は冷たい風ではなく
暖かい日射しの方の干物日和です。
浜の干場では干し上がったばかりの
真っ白なちりめんじゃこをトロ箱に山盛り、
棚のように段になった台車にずらっと並べ
透明な幅広のビニール帯で
台車ごとぐるぐる巻いて固定しています。

一台に何億匹のじゃこが載っているのでしょう。
海に面した干物の作業所には
観光客の車も時々停まります。

‥‥たしかこのへんだったと思ったのに。
通り過ぎたかな。

元日のTV番組で、福の神が自宅に押し掛けるという場面があり、
この際、七福神を覚えようと連れが一生懸命見ていました。
「ほたいさん」
ほていさまです。
「ほてい?ぬのぶくろって書いてあるよ?」
袋は確かに音読みではタイですが、
『ほてい腹』という言葉があるでしょう。
「ほていさんか。弁天さまと寿老人はわかる。
‥‥ほていさんと似たような神様はどこが違うの」
頭巾をかぶって、打ち出の小槌を持っているのが大黒天。
「ちゃんと服を着ている人ね」
えびすさまは──

実物を見てもらおうと思って、
海岸に面した祠を尋ねて
いつもの道を来たのですが。

「目立たないの?」
祠は白木で目立ちません。
「目立たない神様は佳いね」

そのまま歩くと高い段の上に
白塗りの小さな祠が見えました。
「あれがそう?」
違います。あんな赤い柱ではありませんでした。
「恵比寿神社って書いてあるよ」
海に面しているから、このへんはみんなえびすさまです。
小さなコンクリートの段を上り、祠の格子戸から覗くと、
小振りで古めかしい、傷ついた恵比寿様が。

もしかしたら。
昔、波に流されて。
それで祠をこんなに高くしたのではないでしょうか。

古いえびすさまの足下に、なぜかさらに小振りな
新しい恵比寿様と大黒様が、2セット。
‥‥えびす、だいこく、えびす、だいこく、えびす。
目出たいのだかなんだかよくわからない混雑ぶりです。

お賽銭をあげて段を降り、もとの方角へ戻ります。
いつもの道のえびすさまは見落として通り過ぎたのでしょう。

干場に戻ると、作業所の並ぶ間にちゃんと
丁度の高さの祠がひっそりとありました。
やはりさっき、山積みのちりめんじゃこに目を奪われた所です。

閉じた格子戸越しに覗き込んだ連れが、
ほこらいっぱいに詰まった像を見て
「大きいなあ!」と驚きながらお賽銭をあげます。

私達はこの目の前の海から上がるもので
生計を立てている訳ではありませんが、
私達の身体はこの目の前の海から上がるもので
もう何割かが出来ているので、
拝見してもかまわないでしょう。

小さな賽銭箱を手で寄せて、
格子戸を開け放ちます。

えびすさまは小脇に大きな鯛を抱え、
去年は空だった手に、節の多い竹の先を細工した
新しい竿を握らせてもらって破顔しています。
足下にたくさんの餅、米、酒。

「いい笑顔だね!」
連れは更にお賽銭を百円追加します。
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by otenki-nekoya | 2013-01-02 22:49 | 散歩
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日記


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