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この方、この方──

十月初旬の連休の日、用事を放り出し、
とるものとりあえず書店へ行きました。

町に一軒だけの書店では新刊本は大抵売り切れ後免、
一部のベストセラーを除いて店頭に並んだ時に買わないと、
後日再入荷する事はまずありません。
目当ての本は文庫新刊の定位置にひっそりと三冊。

よかった、あった。
私が書店員さんなら、おすすめ本コーナーに三部作揃えて展開するのに。
シリーズ最終巻ですが、畏れ多くも『直木賞受賞作』なんですから。
同じ文春文庫で同時に出たガリレオ先生シリーズなどは
最初から何十冊も並んでいて、途切れる事なく入荷するのでしょうけど。

一体何をそんなに読みたかったのだろう、と
呆気に取られた連れが手に取ったようです。
「思わず見てしまった──最後の話のはじめのところ」
表題作『鷺と雪』ですね。
「読むつもりはなかった。なかったのに、文章から目が離れなくなって」
佳い文章でしょう。
「ついつい読んでしまうね」
国民的作家・宮部みゆきさんが文学の『師匠』と呼ぶ、
国語の先生だった方です。
「師匠?でも宮部さんのほうが年上でしょ?」

お!つまり、「北村薫」さんは四十歳台以下の女性だと。
ふふふふふ。さすがは北村先生、覆面を取ってから二十年経つというのに、
ここにも文体の「たをやめぶり」に騙された者が。
ちなみに私は昔父が買って来た『空飛ぶ馬』を読んだ時、
作者は女子大生「私」ではなく、「円紫師匠」に近い人だろうと思いました。
しかし昭和初期が舞台のベッキーさんシリーズでは
語り手のみならず探偵役までが若い女性ですから、
書き手も女性と思う方が自然です。

私が大慌てで書店に行ったのは、早く読みたかったからではなく、
買っておかないと、この町に欲しい本が入らなくなるからです。
町で一軒の書店に、どういう読者層がいるのかを知らせるため。
ですから急ぎません、お貸ししましょう。

連れは最終話の『鷺と雪』をゆっくりゆっくり読み、
読み終わってため息をつくと、
冒頭から読みはじめました。
by otenki-nekoya | 2011-10-27 20:35 |
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