narcia

nekoya2010.exblog.jp ブログトップ

徳川十五代

試験期間中の昼間の電車は満員ですが、
ほとんど男子は座らないで立ったまま、
そのかわり女子と違って勉強している子はまずいません。

私の前に立った少年は珍しく英語の参考書を手に、
古典的な赤い透明なプラスチック板を滑らせて
見えない単語を姿勢を崩さず考えています。
詰め襟のボタンを見ると、やはり進学校です。
しばらくして友人が隣に来たので、
お互い異なっている社会科の選択科目の話になります。

「徳川十五代、全部覚えないといけないんだよ」
参考書少年は日本史を取っているようです。
「鎌倉時代からの守護とか‥‥結構大変。
 地理ってどんなの?」
ちょっとふっくらした友人は軽く眉を寄せます。
「鉄鉱石の輸出国とか産出量とか」
「‥‥」
「輸入国とか」
‥‥。
「‥‥面白い?」
友人は吊り革にだらん、と手をかけます。
「おもしろい、というもんじゃないなあ」
「日本史がましだよ。覚えなきゃいけない事多いけど」
揺れる電車の中で姿勢良く立つ少年が言います。
「面白いもの」

そうなんですよ。
それに、徳川十五代は一度覚えれば一生使えるけれど、
鉄鉱石の輸出国なんて数年経てば変わるしね。

今の時代は徳川十五代の名を調べるなんて一瞬の間にできるので、
わざわざ覚える必要なんてなさそうに思えますが、
それでも自分の中にラベルのついた棚として持っているのと
一度ネットで調べてからその時代の関連事項に移るのでは
手間も深みも全く違う。

受験科目のかねあいで放棄せざるをえなかったもので、
なんでも丸暗記できる年頃に無理にでも
詰め込んでおけばよかった、と後悔するものは意外とあるものです。
覚えよ、若者。
[PR]
by otenki-nekoya | 2010-12-14 14:44 | 普段