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魚群

たくさんの銀色の魚の腹がきらきらと光ります。


サバ、アジ、カマス、タチウオ、

どの魚もぴんと体を伸ばして

口の先から頭、胴、尾の付け根まで

ぎっしりとすし飯を詰められて。


人の集まりには姿寿司が付き物の土地です。

店舗の冷蔵ショーケースいっぱいに、

魚まるまる一本酢締めにして酢飯をつめた

豪快な寿司が数限りなく並べられています。


タチウオも同じように姿寿司だったら怖い。

タチウオだけは捌かれて光る皮を内側にして

いわゆるバッテラの形になっています。


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by otenki-nekoya | 2014-12-31 21:51 |

神の訪れ

駅の産直市で、一人の婆様が

知り合いに明るく声をかけています。


「クリスマスは来たかね!」


打てば響くように爺様が否定します。


「来るかえ!」


大勢の人でごったがえす産直市は

通路をふさぐ程バケツが並んでいて、

しきび、さかき、松、千両、南天、大輪の百合、

白梅、紅梅、蠟梅、小ぶりの紅白の葉牡丹などの

お正月のための生花が飛ぶように売れてゆきます。



市を出ると、駅のマスコットキャラクターの像が、

白い縁取りの有る真っ赤なケープを着ていました。


気付いた御婦人が、友達に

「みてみて、○○ちゃんがクリスマス!」


それを言うなら、○○ちゃんがサンタさん、です。

可愛く出来ているので、写真を撮っている人もいます。



お正月様は、準備をしてお迎えしなければ決して来ない。


それと少し似ているのかもしれません。

都会の風潮とは距離のあるこのあたりでは

サンタクロースでもイエス様でもなく、

「クリスマス」が訪なう神の一種なのかもしれません。



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by otenki-nekoya | 2014-12-25 21:57 | 散歩

クリスマスのこない町

祝日でも町は平常通りに働いています。

道は道路工事をして

海は漁船でいっぱいで

店はどこも開けていて


いつものスーパーに入っても

いつもどおり静かです。


ああ、そうか。

マニュアル通りにクリスマスの飾り付けはされているのに、

あふれるようなクリスマス商品も

賑やかなクリスマスソングもないのです。


そういえば、さっき横切った商店街もまるっきり平常通りでした。


うわついていない。


売り場の一部は小山になるくらい

真空パックのお鏡餅で埋もれていて

お正月商戦はうってかわってやる気満々です。


静かな店内で、赤ちゃんをだっこした

お洒落なお母さんが、お父さんの押すカートに載った

三歳くらいのお姉ちゃんを鋭く諭しています。

いや、諭されたのはお父さんかな。


お母さんは、今大人気のキャラクターの描かれた

ソーセージを冷蔵棚に戻しながら

「こんなものに踊らされたらいかん!」


すみません。

ながいあいだ踊り続けていましたね、私達。



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by otenki-nekoya | 2014-12-23 22:52 | 散歩

遠く見る

降る雪を見ています。


とても遠くから。


県下では平野部にも白いものが舞ったそうですが、

この里までは雪雲も届かぬようです。


日のいっぱいにあたる山々は

あちこちやわらかく色づいています。

一番奥の峯の上にかかった雲から

降りそそぐ雪が日に照らされています。


遠くの山のてっぺんに

短い白い虹が立ったようです。




昨日TVで、ノーベル賞受賞者の

帰国インタビューをしていました。

遠目にも、24金の本物のメダルよりも

メダルをかたどったチョコレートの金紙のほうが

ぴかぴか光っていました。



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by otenki-nekoya | 2014-12-17 22:16 |

ハコモノ

「市役所の人は大変だ」

地域イベントの手伝いに行っていた連れが言います。

何十年も続く恒例イベントに、選挙が重なってしまいましたからね。

準備が忙しいうえに、公共施設のいくつかは投票所になってしまって

代替施設を用意するのも難題だったでしょう。


「普段の日曜休日もほとんどないらしいよ」

そういえばこのあたりは天候が不安定な春夏よりも、

天候の安定した晩秋から真冬のイベントが多いです。


「正月は恒例の寒中水泳大会だから、毎年正月もないんだって」


‥‥そんな恒例ありましたっけ。

頑張れ地方公務員。業務内容は違いますが、

『腕貫探偵、残業中』(著/西澤保彦 実業之日本社)の

タイトルが思い浮かんでしまいます。




投票所になっている公共施設に行くと、

こちらの一挙手一投足に集中砲火的な視線が。

訪れる人が少なくて、皆さん待ちかねているのです。


全員の「ありがとうございましたー」の声に送られると、

新たに来た子供連れの女性に一斉に「いらっしゃいませー」

‥‥さすがにそれはないけれど、

集中砲火的な視線に若い母親がたじろいで私に尋ねます。


「ここ、○○○じゃないんですか?」

普段はそうなんです。

でも今日は投票所になっていて、利用できないみたいですよ。


この地区の外から、しかも初めて訪れたのでしょう。

小さな男の子がお母さんの手にぶら下がってくねくねします。

せっかく来たのに残念だったね、たのしみにしてたのかな。


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by otenki-nekoya | 2014-12-14 22:13 | 散歩

金紙のひみつ

いろとりどりの折り紙の中でも

金紙と銀紙は特別な存在でした。


全ての色の一番上にあって。

他の色と違ってぴかぴかひかって。


その大事な金紙を、

机の上から落としてしまいました。

ひらり、と縦になった金色の折り紙が

壁のコンセントをかすめる瞬間


小さなじっ、という音と白い光が閃きました。


床に落ちた金紙をみると、四角い紙の一角の、

光る部分と裏の白い紙がほんの少しなくなって、

薄い黄色の透明なシートだけが残っていました。


──アルミニウムは電気を良く通す。


引っ越す前の家での一円玉騒動を思い出しました。


金紙の先端が偶然コンセントの差し込み口に入り、

アルミが溶け、裏の紙は燃えたのだとわかりました。

窓に近かったコンセントより壁際の机の足下は暗いから、

小さな火花が散るのも見えたのです。


金紙って、透き通った黄色いシートに、

アルミかなにかの金属を薄く張って、

裏に白い紙を張ったものだったんだ。


ぴかぴか光る金色って、

ぴかぴか光る銀色+黄色だったんだ。


小さい三角の形に残った透明なシートは

なんだか黄ばんだような色で、

あまりきれいとは思えませんでした。


この体験のせいではないのですが、

その後小学校にあがって、

金色の賞をつけてもらう機会があっても、

あまりうれしくはありませんでした。


金色より銀色の方が純粋できれいだと思っていました。



物質としての価値は程なく教わりましたが、

それから何十年も経った今でも

「一番いい色」という言葉にはあまり納得していません。

それでも、首にかけられない金色のメダルは良いですね。


「首にかけられない金メダル?」


ノーベル賞のメダルです。



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by otenki-nekoya | 2014-12-12 22:06 | 普段

アルミでできている

五歳だったと思います。


私は当時住んでいた家の二階の窓辺近くに座っています。

遊びに来ていた数人の友達は部屋の真中を向いています。


窓の右側の壁にコンセントがあって、


どういうわけかわたしはそこから

めがはなせなくなっていました。


子供の視点は低い。

コンセントは目の前です。

そばに、一円玉がありました。


私の目には

コンセントの溝の厚みと一円玉の厚み

コンセントの溝の薄さと一円玉の薄さが

まるでおたがいひきつけあっているようで


軽い銀色の硬貨を縦につまんで

コンセントの差し込み口に──



ばし、と衝撃があってコンセントから白い煙があがりました。

友達が振り返ります。


私の指に残ったのは

まんまるの一部が半月型に消えて

まっすぐになった縁が黒い一円玉



手のかからない、大人しい子供でした。

なぜこんなコドモのいたずらをしたのか、

自分でもあっけにとられてしまいました。


ショートした時のショックよりも、

魅入られたように一円玉を差し込み口に運んだ、

時間にしたらほんの数秒の感覚が今でも忘れられません。



TVのドラマで主人公が同様の行動をとり、

電源を落として危機を脱する場面がありました。


昼間だったのでわかりませんでしたが、

あのときもたぶんブレーカーが落ちたのです。

それで一階にいた母が上がって来たのでしょう。


母が語気強く言います。


一円玉はアルミで出来ている。

アルミニウムは電気を良く通すのよ。



文字にすると、今の私のような言い方です。

気付かなかったけれど。

似ている。


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by otenki-nekoya | 2014-12-10 21:48 | 普段

オムレツって

「オムレツって、和食?洋食?」


連れの質問は常に純粋な質問であって、

決してなぞなぞやひっかけクイズではありません。


オムレットはフランス語ですが。

「フランス語なんだー。それで?和食?洋食?」


‥‥。



先日、連れの出張先のホテルの朝食が

見晴らしの良い最上階で。

「ビュッフェで並んだ料理を順番に取って行ったら」

料理人がその場でおいしそうなオムレツを焼いていたのだそうです。

「でももうスクランブルエッグとってたし」

皿に載せていて冷めないように、料理の最後で焼いていたのでしょうね。


「最後じゃないよ。そこからは和食の料理が並んでた」

もしや。

「洋食のコーナーと和食のコーナーの間で、焼いてた」

それで。

「和食と洋食のどっちなのかなーと思って」



オムレツはですね。


まず最初に。

卵を割ります。


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by otenki-nekoya | 2014-12-06 21:39 |

サイドミラーにあごをのせ

やわらかな色合いの山々の一番奥が

ひとつだけまっしろになりました。


重荷を下ろした風が里に吹き付けます。



助手席の窓を全開にした軽自動車から

茶色の細い腕が出ています。

腕じゃない、前脚。


サイドミラーにちょこんとあごを載せて

マメシバが車内から身を乗り出して

寒風にあたっています。


この身を切るような風が身を切らないのか。

さすがに毛皮を着ているだけの事はある、

でも窓を閉められないから運転手さんが寒い──


あ、逆なんだ。


急激な冷え込みに、人間は当然、車の暖房を入れます。

毛皮に包まれた、汗腺の少ない、容積の小さな生き物は


のぼせた。


だから、サイドミラーに頭をのっけて冷やしている。

最初からマメシバ専用台のようにサイズがぴったりです。


そのまま軽自動車は何事もないように

細い路地から大通りへ出て行きました。



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by otenki-nekoya | 2014-12-05 21:40 | 散歩
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日記


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