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干し物をとりこむ

今日は水平線がはっきりとわかります。


空が暗くて海があかるくて。


空が暗いのは、あそこからあそこまで

雨が降っているからなのでは。

それもそうとうな大雨なのでは。

しかもこっちに来るのでは。


いつもの海産物干し場の横で、小走りになります。

干し場のみなさんもせわしげに魚介を取り込んでいます。


串を打ってぴんとまっすぐになった真っ白いスルメイカが

ずらずらずらずら道沿いに吊り下げられています。

小さいワイシャツの行列のようです。


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by otenki-nekoya | 2014-11-30 21:45 | 散歩

海鳥に似ている

海沿いの道のところどころに

県外ナンバーの車がとまっています。


水平線を見に来たのか。


日射しが暑いくらいの日和なのですが、

あいにく白く光る雲が空を覆い、

白く光る海とのさかいめは茫漠としています。


水平線はあのあたり──


指差した線よりだいぶ上を船が通ります。


‥‥まちがえた。


自分の居る高さによって違うので、

いつも見ていても水平線の位置を当てるのは意外と難しい。


連休ですが、月曜なのでたくさんの漁船が出て働いています。

かたまっているところに、お目当ての獲物がいるのでしょう。


黒い船団が、銀色の空を漂うようです。


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by otenki-nekoya | 2014-11-24 22:20 | 散歩

とび、とぶ、とべ

ベランダの上から下へ垂直に、

トビが腹を見せて舞い降ります。


そのまま地面より下まで飛び、

川面で折り返して垂直に、

背を見せて舞い上がる。


紙ヒコーキみたい。


再びベランダに接近します。


これが食べたいのかな。

小さなざるに広げたシラス干し。

いいにおいがします。


朝どれ釜揚げちりめんが余ったので、

ベランダで干していたのです。


でも、猛禽の嘴でシラスは食べられまい。

第一、こんなに人に近くても野生は野生、

餌をあげるわけにはいかないのです。



昔、祖父が庭でトビを放し飼いにしていました。

ピーピー、ピーヒョロ鳴くから名前はピーちゃん。


餌は豚のバラ肉で、全力疾走で食べに来ました。

飛べないのです。ヒナの時、巣から落ちて。



豚バラ肉は御馳走だけど、

君はそんなもの食べなくていい。


シラスをあきらめた若いトビは、

川の上に飛んで来た銀色に光る物をキャッチして、

もちろん空飛ぶ魚なんていないのでリリースして、

そのまま舞い上がって行きました。


風の強い日なのです。

川岸のススキの綿毛が時折雪のように

きらきら光りながら飛んでゆきます。



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by otenki-nekoya | 2014-11-18 22:08 | ベランダ

水平線のために

十月にはじまったTVドラマで

ヒロインが語る「野望」のひとつが


──水平線を見たい


島に囲まれた島の高校生なのです。


たまたま通りがかりにその台詞を聞いた連れが、

「このへんなら逆に」


──島を見たい


たしかに。

このあたりの海岸から見えるのは

山の他は海と空の水平線ばかりで、

いけどもいけども島影一つありません。


電車に乗ると、周りの乗客が

「わあ、地球が丸い!」と叫んでいるほどです。



前回、大学生になって島を出たヒロインが

旅先で水平線を見ながら

「はしからはしまで水平線っていうのが見たい」

と、少し野望を大きくしていました。


たまたま通りがかりにその台詞を聞いた連れは、

そのまま通り過ぎて行きました。



日曜の朝、いつも自転車で川沿いや海岸沿いを

走って来る連れの帰りが少し遅くなりました。


隣村の台地へ行ったのだそうです。

台地?登ったんですか?自転車で。


「登りきれなかった。途中で降りて来た」


自分の脚の力だけではなかなか辿り着けないでしょう、

てっぺんまでは


‥‥。

もしかして、見たかったのですか。


はしからはしまでの水平線が。



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by otenki-nekoya | 2014-11-16 22:42 | 散歩

あきのかぜ

ベランダから見下ろすと


センダンの葉が落ちて金色の実がずっしりとみのり

小さな川の水は澄み対岸の駐車場はがらんとして

ぽつんとまっさらな


──お墓が


蒼天から降りて来たように忽然と

秋風にみがかれたようにしらじらと


‥‥会社の駐車場に墓石?



何事かというと。

毎年十一月中旬の週末、お向かいの会社ではフェアを行います。


敷地いっぱいに金属ポールを組んだテント屋根を並べ

さまざまな飲食物や農産物や商品の出店を広げます。

川沿いの駐車場は臨時のフードコートとバンド演奏のステージとなり、

例年ならこのあたりでは一番気候の良い頃で、大勢の人が訪れます。


クレーンを使用するような展示商品は、

会場設営の前に搬入を済ませておかねばなりません。

例えばこんな‥‥墓石。



常になく冷たい秋風に吹かれ

ベランダからぴかぴかの墓石を眺めます。


『奥の細道』に秋風と墓の句がありましたね。

墓ではなく塚でしたっけ。


 塚も動け 我が泣く声は 秋の風

                  芭蕉



翌朝、『ゲラゲ▽ポーの歌』をスピーカーで流しながら

秋風の中向かい岸のフェアは賑やかにはじまりました。



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by otenki-nekoya | 2014-11-15 16:42 | ベランダ

天窓の月

雨の強い土地に雨の多い夏と秋だったので

明かり取りの天窓からたびたび雨が漏って、

頻繁に天井でぽた、ぽた、と音がします。

何度直してもらってもしばらくするとまた音がします。

継ぎ目のある、ちょっと凝ったデザインの屋根は

どれほど工夫を重ねても太刀打ちできない気候なのです。

なにしろ真横からも下からも雨が降るのです。


もうあきらめて、いずれ天窓はつぶしましょうと言う事になりました。

日中部屋が暗くなるので電灯を増やして。



夜、灯を消した部屋で天窓を見上げます。

擦り硝子なので素通しでは見えませんが、

満月がさしているのがわかります。

硝子の上の屋根の一画がぼうっと白く光っています。


目が慣れてくるにつれてますます明るくなります。

壁に窓のない部屋の中に月光がふりそそぎます。

フローリングに白い光が反射しています。


閏九月、立冬の満月です。



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by otenki-nekoya | 2014-11-07 23:25 |

すべてがエムになる

当時、座敷童のような子(私)がバスの中で読んでいたのは

岩波文庫の『遠野物語・山の人生』でした。


今、手持ちの角川ソフィア文庫『遠野物語』は

『遠野物語拾遺』と合わせて一冊になっています。


連れが買って来た集英社文庫『遠野物語』は、

カバーイラストはホラーコミック風ですが、

『涕泣史談』や『清光館哀史』などがセレクトされています。


その中の一編『女の咲顔』は

「エミ」と「ワラヒ」の違いについて考察されています。


「笑」と書いて「ワラヒ」、「咲」と書いて「エミ」

「咲顔」と書いて「エガオ」


‥‥今シーズンのドラマで工学部のお嬢様大学生を演じている

女優さんの名前、「サキちゃん」じゃなくて「エミちゃん」は

読み方に無理があるなあ、と思っていたのですが

そうだった!柳田翁が「エミ」と読んでいたんだった!


ドラマのキャストを聞いたとき、原作に合わせて

エミちゃん髪を切ったら偉いけど必要ないぞ、と思ったら

さすがにそれはしていませんでした。



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by otenki-nekoya | 2014-11-02 22:58 |

そこの物語

十月いっぱいはハロウィーン通信ネタになるような

コワいものはないかコワいものはないかと、

そればかり探していました。


何が一番怖かったかと言えば。



十月のある日曜日、

連れが薄い文庫本を読みふけっていました。


柳田国男の『遠野物語』でした。


うわあああああああ。


‥‥どこが怖いのかわかりにくいかもしれませんが、

この組み合わせは全く想定外だったのです。


 経立(ふったち)は恐ろしきものなり。


とはいえ、

若い頃には食べられなかったものや

興味のなかった分野の本が

楽しめるようになるというのは、

年をとる醍醐味のひとつです。



 ある年何某という男、町より帰るとて乗り合い自動車に乗りて

十二、三の女の児の書を読み入るに逢へり。

何読む、と問えば柳田某の『遠野物語』なりと答ふ。


座敷童ではありません。

私です、私。




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by otenki-nekoya | 2014-11-02 21:55 |
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日記


by otenki-nekoya
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