narcia

nekoya2010.exblog.jp ブログトップ

<   2013年 03月 ( 11 )   > この月の画像一覧

弥生のそら

雨雲が沖にそれたのは僥倖でした。
白い空の中で満開の桜は紅く見えます。

いつものなんでもない風景に
ほのあかい花びらが降りしきります。

大きな桜のあるお宅では、桜吹雪の中
奥さんが高く携帯をかざしています。


浜に出ると花のひとつも人影もなく、
作業の終わった干場の台車やアスファルトの上に
様々な色や模様の猫達がだらりとしています。

普段魚を狙うので人に追われるのでしょう、
私達が近づくともそもそと移動します。

お休みのところごめんね、
あ、申し訳ない、と、
猫一匹一匹に連れが謝りながら歩きます。


朝、連れが自転車で河原から折って来たイタドリを
煮えないように熱湯を回しかけ、
すーっ、すーっと皮をむいて
水にさらしておいておきました。

ななめ切りにしてポン酢をかけて
しゃくしゃくといただきます。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-31 20:49 | 散歩

禁門を護る

長年、例えば『白虎隊』のドラマなどは見ないようにしていました。

猪苗代湖畔を埋める白いソバの花を眺め、裏磐梯の景勝をめぐり、
野口英世の生家は訪れても、鶴ヶ城には足を向けませんでした。

倒幕派の土地柄、もしかしたら会津を攻めた、
という先祖が私に居ないとも限りません。

でも今年は某公共放送大河ドラマで、
会津の落城に立ち会う事にします。

会津の殿様が京都守護職に任じられてからは
上は帝、権を争う公家、去就不明の将軍後見職、
幕府より国(藩)を案じて不興を買う国家老、
ヒロインのあんつぁま達・正規の藩士、
更にその下に浪士には浪士・テロルにはテロルの新撰組、

そして国許で毎日を丁寧に堅実に暮らす女性達。
視点が縦方向に幅があって忙しいけんじょ、
よっぐわかった事がありやす。

長州は幕府に攻められ外国に砲撃され、
萩の資料館では「長州『征討』ではない、
あれは『戦争』だ」と主張していて
なんとなく気の毒だとずっと思っていました。

けれど今回のドラマで、「偽勅」に心傷め、
御簾の中で砲撃に耐える帝と
その信に応えんとする会津中将のシーンを見て、

あまりに畏れ多い、
これでは『征討』されてもしかたがない、
‥‥と、納得してしまいました。

その一方、大都会の真ん真ん中で
あんつぁま達正規軍隊が兵器を使用して応戦、
これも尋常ではない。

以前、蛤御門に残る砲弾跡を実際に見たときは
それほどにも思わなかったのに。
人が演じる映像の威力でしょうか。

春嶽公がものすごい悪者に見えたという時点で
すでに会津視点なのですが。

ドラマを見た後の復習には、講演記録なので語りが軽い
半藤一利 著『幕末史』(新潮文庫)がぴったりです。
長岡藩士の子孫の半藤先生は「薩長嫌い」と言いながら
勝先生の事はお好きなので、言うほど判官びいきでもありません。
大河スタッフも指針のひとつにしているのではないかとも思われます。

だけんじょ。
あいづの行く末が案じられて、いまがらせづなぐてなんね。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-24 22:45 | TV

はなさか

春分の日の漁は普通に行われていて
春雨に霞んだ浜には四つ程の地引網が仕掛けられて
人と鳥が最初に引き上げられる網を待っていました。

その時、干場の裏の桜の蕾は
一粒残らず固く閉ざされていました。
町中よりだいぶ遅いな、と思いました。


日曜は主な漁が休みなので人影のない浜から
角を曲がると、目の前に、
ばばーんと巨大な白い塊。
隅々まで完全に満開の桜です。

間違いなく、同じ樹です。
三日見ぬ間のさくらかな、
四日間で何が起きたのか。

町中の桜は先に開きはじめていたのに、
まだまだばらばらな開き具合です。
ベランダから見下ろす桜なんて
上から見るとさほどでもなく、
下から見上げると満開に見えます。

海辺は遮るものがない──からでしょうか?

「そういえば」
山へ行くのはやはりまだ無謀だった、という事で、
当分は自転車で海沿いを走る事にした連れが言います。
「春分の日、□□の坂を降りるとき、
 全然気にもとめなかった枯れ木が」
今朝、岬へ上って、一気に下ると。
「ずうっと満開の桜のトンネルになっていた」

ああ。そっちの世界も素敵ですね。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-24 22:01 | 散歩

「猫とは、大変可愛らしいものです」「知ってます」

連続TVドラマはあまり見ない連れが、
「これは名作だ!」と土曜日テレの
『泣くな、はらちゃん』をかかさず見ていました。

気がついているのでしょうか。

 ひなびた海辺で。
 「あれはなんですか?」
 「カモメです」

 「あれはなんですか!」
 「マグロです」
             『泣くな、はらちゃん』最終回

‥‥そっくりです。

他の世界から来た人ではなくても、
空間的には重なっていても、
人はそれぞれ少し異なった世界を生きています。

私の方の世界にはいろいろな花や鳥や星があって、
しかもそれぞれに名前がついている事を知り、
驚いた連れはあれは何、これは何、と聞きます。


 あなたの世界は素晴らしいです。
 自分の世界を好きになってください。

と、マンガの世界から出て来たはらちゃんは
現実の世界があまり好きではないヒロインに言います。

ものすごく気に入ったというのに、連れは
ドラマの設定の土台になっている、内気なヒロインが
「大好きなマンガのキャラクターを描いて憂さ晴らしをする」
という行為が最後までよくわかっていなかったようです。

そ、そうか。そっちの世界では、
マンガや物語はよんで楽しむもので、
自分でかいて楽しむという──概念がないんだ。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-23 22:56 | TV

おへちゃ

海岸の干場で働く人達の所に、柴犬がかけよって行きます。
身を屈めたおじさんが立ち上がり、道路に出て来ると
ジャンパーの小脇にまんまる顔にまんまる黒目の子犬。

かわいいですねえ!

思わず声が出ると、おじさんがにんまり笑います。
白い喉から三角錐のような高い鼻を子犬に向けて
見上げている母犬よりも、
まんまるくてぺっちゃんこの黒い顔は、おじさんに似ています。

「えっ‥‥あの犬、親子だったの?似てないよ!」
小さいうちはあんなかんじですよ。
「タヌキみたいだったよ」
成長すればあの母犬のようなすっとした器量良しに
‥‥なるかどうかはなんともいえません。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-17 20:34 | 散歩

下見

結局じっとしていられず、
連れは早朝の山に自転車ででかけました。

「去年、川岸に土砂を積んだ所があって、
 その裏にイタドリがいっぱい生えてて」
豪雨が続きましたから。
鮎が棲みやすいように、流れ込んだ土砂を浚うのでしょう。
「これは良いところをみつけた、と思って。
 あと一月ぐらいだ、と見てきたら」

──土砂が更に積み上げられていた。
「もうあそこでは採れない‥‥」
自分で見つけて採るのが楽しいんですね。
「こんなふうに変わっていくんだなあ」

ウグイスが鳴き、白木蓮が満開の山里で、
野山育ちの人はうっすらと喪失感に浸ったようです。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-17 20:32 | 散歩

いつかはカラマーゾフ

「『カラマーゾフの兄弟』かして」
おお、ついに三度目の挑戦ですか。


年の初め、新聞書評欄のお薦め本に
『カラマーゾフの兄弟』が紹介されていました。
「誰もが生涯に一度は読むべき本、だって」
推薦した奥泉氏は超大作主義のお方ですから、
誰もが、なんて軽くおっしゃいますが。

連れが胸を張って言います。
「私は『カラーマゾフの兄弟』を読もうとして、二回挫折した!」
まだ読み切ってないという事ですか。
「なんでだろ」
なんでって‥‥長いのは平気なんですよね。
「『戦争と平和』は面白かった。
 『アンナ・カレーニナ』はあんまり面白くなかった」
どっちもドストエフスキーじゃないじゃないですか。
「『罪と罰』は面白かった。話はおぼえてないけど」
いや、忘れるような話じゃないでしょう。

亀山郁夫先生の新訳で良ければ、いつでもお貸しします。

三月に入って、あまりの花粉の猛攻に、
休日の自転車乗りをあきらめて、
連れは屋内に居る事にしました。

そして『カラーマゾフの兄弟』の文庫がTVドラマ効果で増刷された、
という新聞記事を見て読みたくなったようです。

「上・中・下の三巻だよね?」
それは新潮文庫版。
光文社文庫の新訳版は五巻になります。
「ご‥‥五冊‥‥?そんなに?」
だいじょうぶ。五巻目はほとんど解説ですし、
みてください、この字の大きさ!行間の広さ!
「あー。これなら読めそう」
‥‥単に字面の問題ですか?


その後、どうでしょう。
「ロシア人って、みんな早死にだなあ」
あの物語のテンションの高さでは、長生き出来そうもありません。
じゃ、なくて。
「面白い!」

それは良かっ
‥‥いや、まだまだ。
三度目の挫折がいつ訪れるかわかりません。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-15 20:29 |

ちいさな建築

午後の電車は学生達で混雑しています。

真向かいの席には
ジャージの胸の白地に赤く刺繍した
『O高校剣道部』の名乗りが凛々しい
男女五人が姿勢良く座っています。

私の右隣にかけた女子二人は
家庭科のテストの話で笑っています。
友達が『りにゅうしょく』の『にゅう』を

「入る、のにゅうって書いたんやって」
「『離れて』『入る』食?」
それはありそう。

左隣にすわった公立進学校の女子は、
書店カバーをかけた、
建築についての新書を読んでいます。
モジュール、スケール、単位、素材、
小さなブロックを積みあげる──

隈研吾氏の著作のようです。
日本有数の建築家が大規模災害後に語る、
軽くて柔軟でひらけた、たてもののありかた。

日射しが強いので、眺望の良いガラス窓はカーテンがひかれ、
剣道部員の肩の上、隙間隙間に水平線が見えます。

このうみはいつかすべてをながしさる。
左隣の少女がおもいえがくたてもののすがたは
そのまえか、それともそのあとでしょうか。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-11 19:39 |

南の空 北の海

いつもは海風が強いのに、今日は風が全くなく、
曇って日射しもないのにじっとりと汗ばむ暑さです。

商店街の店の多くはお休みです。
タクシー店の前を通りかかると、
甲高いおしゃべりのような聞き慣れた鳴き声が。

ガレージの中をのぞきこみますが、視認はできません。
でも間違いない、三月十日、ツバメ到着初確認です。


風がないのに。
海は荒れていました。
いつもは海岸に垂直に寄せる波が、
斜めの方角から高く打ち付けています。

どこか遠くで。
たぶん北に大きな低気圧があって。
その嵐の波がここまで届いているのです。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-10 21:37 | 散歩

こがも

このあいだまでくっきりと見えていた山々が白く霞んでいます。
樹々が呼吸を始めたのでしょうか。

白い雲に覆われた空は、昨日は黄色っぽく見えていました。


明るい黄緑色の線は芽吹いた柳の枝です。
「みたことのない鳥がいる!」
暗い川の水面に一瞬、
鮮やかな赤い顔が一羽、
続いて可愛らしい茶色の斑が一羽。

コガモのつがいですね。
「ちっちゃい!」
コガモですから。
「つがいって、子供なのに?」
なんで冬にヒナが育つんですか。
子鴨ではなくて、小鴨、
河口に群れているカモ達の仲間では一番小さい種類です。
「それにしても小さいな」
普段トビとアオサギばかり見ているからでしょう。

「もう北に行くの?」
北へ行って卵を産んで、小さな子鴨を育てるんです。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-03-10 21:30 | 散歩
line

日記


by otenki-nekoya
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite