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まふゆの逃げ水

真っ青な空の中に目には見えませんが
透き通った冷たい風が吹き付けて
真っ青な海の中に細かな銀のさざ波が輝きます。

遮るもののない冷たい強い風と強い日射し、
魚を干すのにはうってつけの日です。

海沿いの道を走り抜けた自動車を見やると
行く手の地面に自動車の色が映ります。

立ち止まって見ると道路の先が水に濡れたように
青空と真っ赤なアロエの花を映しています。

逃げ水です。
まなつの酷暑の中で見るような。

そうか、温度差ができているのです。
強い風が吹き続けて地上の空気はとても冷たい。
強い日射しの当たるアスファルトに
接する部分の空気は温まって
その境目で光が曲がる。

海でもこの時期冷たい空気と
比較的暖かい海水に接する空気との間に
浮き島やだるまのように連なった太陽が見えるそうです。

干場に停まった自動車に近づくと、
地面に映った車は消えます。

ポリ袋を嬉しそうに覗き込みながら
観光客が車に戻ってきます。
今日の干物は一段と良い出来でしょう。

作業所の屋根一面に吊るされて揺れる
銀の鰯を見上げると、青空の中に
真っ白い猫がするするっと上がっていきました。
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by otenki-nekoya | 2013-01-27 21:49 | 散歩

いちがつのいちご

この冬は十二月から「真冬並みの寒さ」に襲われ続けたので、
本物の真冬なのに日が長くなったぶん春めいて感じられます。

この寒中に、このあたりの温室イチゴが
出荷シーズンに入ったようで、
産直市にイチゴのパックが並び、
カフェを併設した駅前のパン屋さんは
ぴかぴかのいちごを載せたタルトと
いちごだいふくパンなる季節商品を並べています。

公園の向かいのケーキ屋さんはイチゴ祭りと称し、
イチゴのショートケーキやイチゴのムースや
イチゴのロールケーキの幕で囲まれています。

みんなどれだけイチゴが好きなんだ。

連れがケーキを買って来てくれました。
「ガなんとかとフレーズとかなんかそんなの」
ガトー・オ・フレーズ。
「そうそう」
いちごの、ケーキ。

真っ白い雪のような生クリームの中に、
真っ赤ないちごが載っています。

単純にして完璧。
おそれいりました。
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by otenki-nekoya | 2013-01-20 21:32 |

謁見

昔からさんざんネタにはしたけれど、
とは言っても寿司ネタではなく話の種で。

その馴染み深くも実体を見る事のなかった
深海の怪物がついにカメラの前に姿を現し、
某公共放送でその映像が映し出されました。

前哨戦の無人カメラにひらり、ひらりと
まごうかたなき『触手』が映ると、
画面を指差して“more!more!”と叫ぶ撮影クルーと
こっちも一緒になって騒いでしまいます。

クリスマスツリーのオーナメントのような
ガラス玉の潜航艇がしだいに暗くなる海に潜ると
餌にがっしり食らいついた巨大生物が。

これが。
これがこれがこれが。
我らが大いなる王。
我らが邪なる神。

金属光沢をたたえたイキモノに見入るうち、
じわじわと潜航艇は深みに引き込まれます。
潜水限界間際で僅かに制動をかけると、
抵抗を感じたのか、イキモノは身を翻し
深度千メートルの闇に消えました。

ふう。

先生、次は是非マッコウクジラとの対決場面を。
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by otenki-nekoya | 2013-01-13 22:38 | TV

緩む日

天と地の間が全く素通しのこの時期には珍しく
どんよりと雲が空を覆うと
まるで毛布をかぶったように暖かく感じます。

昨冬は姿を見せないと心配された小鳥達は
この冬は何事もなかったかのように現れて、
黄色いセンダンや白いナンキンハゼや
赤いピラカンサやクロガネモチの実を
早くも食べ尽くしそうな勢いです。

空も海も重く静かです。
久しぶりに波の縁を歩きます。
漁の一騒動が治まった後らしく、
たくさんのトビやカラスや冬鳥のカモメが
じっと浜で休んでいます。

寒くないので身体の緊張が解けたのか
たくさんの猫が思い思いの場所でとろんとして
人間の子供達もあちらこちらでぼうっと立っています。

冷たい風も強い日射しもない中で
干場一面に広げられた釜揚げちりめんじゃこは
今日は乾くのに時間がかかるでしょう。

沖には船がいくつも見えて
中に一見櫓をたてたようなものがあります。
海底かなにかの調査でしょうか。

こちらがわは生き物があふれています。
むこうがわも見えないけれど
底を網ですくえば生き物があふれ出ます。

でももっともっと沖の
ずっとずっと深い所は
とても淋しいところで。

その淋しい世界に君臨するものを
捉えた映像が見られるそうです。
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by otenki-nekoya | 2013-01-13 22:37 | 散歩

えびすをさがす

正月二日だというのに、
真っ青な海の上に何隻も船が出ています。

今日は冷たい風ではなく
暖かい日射しの方の干物日和です。
浜の干場では干し上がったばかりの
真っ白なちりめんじゃこをトロ箱に山盛り、
棚のように段になった台車にずらっと並べ
透明な幅広のビニール帯で
台車ごとぐるぐる巻いて固定しています。

一台に何億匹のじゃこが載っているのでしょう。
海に面した干物の作業所には
観光客の車も時々停まります。

‥‥たしかこのへんだったと思ったのに。
通り過ぎたかな。

元日のTV番組で、福の神が自宅に押し掛けるという場面があり、
この際、七福神を覚えようと連れが一生懸命見ていました。
「ほたいさん」
ほていさまです。
「ほてい?ぬのぶくろって書いてあるよ?」
袋は確かに音読みではタイですが、
『ほてい腹』という言葉があるでしょう。
「ほていさんか。弁天さまと寿老人はわかる。
‥‥ほていさんと似たような神様はどこが違うの」
頭巾をかぶって、打ち出の小槌を持っているのが大黒天。
「ちゃんと服を着ている人ね」
えびすさまは──

実物を見てもらおうと思って、
海岸に面した祠を尋ねて
いつもの道を来たのですが。

「目立たないの?」
祠は白木で目立ちません。
「目立たない神様は佳いね」

そのまま歩くと高い段の上に
白塗りの小さな祠が見えました。
「あれがそう?」
違います。あんな赤い柱ではありませんでした。
「恵比寿神社って書いてあるよ」
海に面しているから、このへんはみんなえびすさまです。
小さなコンクリートの段を上り、祠の格子戸から覗くと、
小振りで古めかしい、傷ついた恵比寿様が。

もしかしたら。
昔、波に流されて。
それで祠をこんなに高くしたのではないでしょうか。

古いえびすさまの足下に、なぜかさらに小振りな
新しい恵比寿様と大黒様が、2セット。
‥‥えびす、だいこく、えびす、だいこく、えびす。
目出たいのだかなんだかよくわからない混雑ぶりです。

お賽銭をあげて段を降り、もとの方角へ戻ります。
いつもの道のえびすさまは見落として通り過ぎたのでしょう。

干場に戻ると、作業所の並ぶ間にちゃんと
丁度の高さの祠がひっそりとありました。
やはりさっき、山積みのちりめんじゃこに目を奪われた所です。

閉じた格子戸越しに覗き込んだ連れが、
ほこらいっぱいに詰まった像を見て
「大きいなあ!」と驚きながらお賽銭をあげます。

私達はこの目の前の海から上がるもので
生計を立てている訳ではありませんが、
私達の身体はこの目の前の海から上がるもので
もう何割かが出来ているので、
拝見してもかまわないでしょう。

小さな賽銭箱を手で寄せて、
格子戸を開け放ちます。

えびすさまは小脇に大きな鯛を抱え、
去年は空だった手に、節の多い竹の先を細工した
新しい竿を握らせてもらって破顔しています。
足下にたくさんの餅、米、酒。

「いい笑顔だね!」
連れは更にお賽銭を百円追加します。
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by otenki-nekoya | 2013-01-02 22:49 | 散歩

御神鏡

今年最後の瞬間を映すTV画面をみつめ、
除夜の鐘の音を待ちます。

‥‥‥‥。

鳴らない。

大勢の初詣客が粛々と並ぶ彼方の屋根は

──伊勢神宮

ああっ、冒頭が神社の可能性を考えていなかった!
「神社は鐘がない?」
神社は鈴です。
除夜の鐘がないと気付いてこれだけ動揺するなんて、
我が身は余程煩悩に塗れているのか。

「仏像もないね」
御本尊ではなく、祭神はあまてらすおおみかみ、
御神体は八咫鏡──

「カガミ?それって、もしかして壇ノ浦で」
剣は沈み、鏡は浮いて。
「時忠が救った功績、というあの御神鏡?」
あの鏡かどうかはわかりませんが。

などと騒いでいるうちに被災地の寺や清水寺、
浅草寺などが紹介され、年が明けました。

TV画面に映る伊勢神宮内宮の屋根に向かい
柏手を打ちます。

かみさま。ほとけさま。そしてみなさま。
本年もよろしくお願い申し上げます。
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by otenki-nekoya | 2013-01-01 21:31 | TV

いつしかとしも すぎのとを

いよいよ今年も残すところ数十分、
恒例の某公共放送歌番組では締めに
全員で『蛍の光』を合唱、指揮は平──

という大詰めで、連れが思いがけない事を言い出します。
「『蛍の光』って、国歌だっけ」

‥‥曲はスコットランド民謡ですけど。
「国歌じゃないの」
どこの国民ですか。

大相撲千秋楽、優勝力士を前に観客が起立して
♪ほたーるの ひーかーあり とご唱和したら
「‥‥みんな帰るね。そうか、違うか」


 いつしか年も すぎの戸を

小学校の黒板に『蛍の光』の歌詞が縦書きで書かれ、
「すぎ」の横の部分に黄色いチョークと青いチョークで
二重に線がひかれている光景が思い出されます。
どうして二色で‥‥ああ、そうだ。

「『杉の木の戸』の『すぎ』」と青いチョークを引き、
「『時が過ぎる』の『すぎ』」と黄色いチョークを引いて、
「この『すぎ』にはこの二つの意味をかけてあります」と
女の先生が説明してくれたのでした。

連れはこういう事に全く関心のない小学生だったのでしょう。

国歌斉唱、と言われて『蛍の光』をうたっちまったぜい。
わいるどだろぉ。

 あけてぞけさは わかれゆく。

クラッカーがはじけ、TVの画面は
大ホールから聖域の夜空に変わります。
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by otenki-nekoya | 2013-01-01 21:24 | 音楽
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日記


by otenki-nekoya
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