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すなわたり

ごろごろ丸い石の浜から少し海はひいて
ほんの少し砂の斜面が現れています。

ぎりぎりまで白い波が伸びて届きそうになります。
斜面をひいて行く水に濡れながら、
それでも石の上よりもはるかに楽なので
つなわたりをするように砂浜を歩きます。

真上から太陽がさす青い海の横を歩くことは
光が強過ぎてしばらくはできなくなるでしょう。
石ころで傷だらけになった白い革靴で
ひいて流れる水を踏んでえんえんと歩きます。
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by otenki-nekoya | 2012-05-27 21:59 | 散歩

鬼子母神

あれは連休中の真っ青に晴れた日の夕方でした。

ベランダの前に七、八羽のトビが柱を作っています。
こんなところに餌があるのだろうか、とみると、
トビの群の中心で一羽のカラスが。

一羽のカラスが、一羽のトビに襲いかかり、
執拗につつき、追い、叫び、掴みかかり、
振り切ろうとされても追いすがり、
争いながら遠ざかり、また私の前まで戻って闘い、

黒い怒りに燃える鳥。
やられたのか。
そいつが仇なのか。

赦してやれとは言えません。
おまえも同じ事をするだろうと言っても無意味です。
周囲を囲むトビ達も私もなすすべもなく見るばかり。

長い長い長い長い間。
黒い翼が力尽き、鳶色の翼が逃れ去るまで。
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by otenki-nekoya | 2012-05-27 21:56 | ベランダ

狛燕

海の近くの総合病院の入り口アーチに
立体的に「△△病院」という文字が並んでいます。
左端の「△」と右端の「院」の上に向かい合わせに
黒と白と赤のコントラストの鮮やかな小鳥がのっかっていて

可愛い飾りかと思いました。

良い場所にはまってるなあ。
巣から出た子ツバメです。
見上げていたら△の上の子がひょいと
こっちむきにとまり直しました。
ああ、さっきの向かい合わせの向きが
ぴったりの看板デザインだったのに。

お天気がいいのでたくさんの子ツバメ達が
電線や瓦にとまり、
親が近づくと一斉に騒ぎ立てます。
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by otenki-nekoya | 2012-05-27 20:53 | 散歩

太陽を探せ

東の地平近くは青いのに、
上に行く程雲はむくむく厚くなっています。

日蝕観測用のシートタイプの減光フィルターをかざしてみても、
雲の縁が少し明るい場所が確認できるだけです。

玄関先で曇天を睨む私の背に、
近所の女性が声をかけます。
「どう?見えそう?」
うーん。これはなかなか。
「まあ頑張れば、ひょっと見えるかもよ」
激励して彼女は出勤してゆきます。

あの雲のむらのところにかかれば少し見えるかも。
部屋に入り、ごそごそ準備をし、また出てみます。

ああ、雲越しに三日月型の太陽が
すっすっと水の中を進むように。

私に気付いた小学生が空を見上げ、
「あっ、すごいすごい!」
と、歓声を上げます。
君達は早く校庭へ行かないと、決定的瞬間を見過ごすよ。

「全然見えない時と、肉眼で見える時と、
フィルター通したら見える時が混じってる」
目に良くないなあ、と連れは顔の上で
フィルターをぱたぱたかざしたり外したりします。

太陽も人間も出たり入ったりを繰り返し、
予想時刻になったのでじっくり構えます。
向かい風が強く、舟の舳先で島を探すようです。
「なんだかあたりが薄暗くなってない?」
そうですね。雲の影ではない、
光量が下がった感じです。

フィルター越しに、細い輪の上が見え始め、
徐々に全体像を現わします。
「これは完璧じゃない?完全なリングになってるよ!」
見ました。金環蝕です。

完全な輪はやがて下から切れてゆきます。

午後から雨になりました。

私は2012年の金環日蝕を観たのです。
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by otenki-nekoya | 2012-05-22 21:05 |

しめてけえ

川の向かい側の会社の敷地は広いので
ベランダの真下の橋に面した道は
平日は一般車も通り抜けに使うのですが、
日曜日は赤い鉄柵が閉ざされています。

自転車に乗った小学生が四人、片手にアイスを持って、
橋を渡ろうとしたら鉄柵がある。

一人が渾身の力をこめて押しますが、びくともしません。
もうひとりが逆にひっぱったら、‥‥するすると開きました。

自転車に乗った四人は隙間から外に出て
そのまま行ってしまいます。

あけたらしめなさい。
猫じゃないんだから。

一瞬、上から叫ぼうかと思いました。
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by otenki-nekoya | 2012-05-20 21:03 | ベランダ

商店街の時計店

しまい込んでいた腕時計が止まっていたので
ひろびろとしてきれいでひとっこひとりいない
商店街の中の時計店に歩いて行きました。

硝子戸の中に入ってもひとけがありません。
田舎とはいえそれなりに何十万円台の腕時計が
きらきらと並んだままで不用心このうえありません。

奥に声をかけると、出て来た女性が残念そうに言います。
店長は今ショッピング・モールの店舗のほうに居て、
ああ、ついさっきお昼を食べに帰ってたのに行き違いで、

歩いてすぐのショッピング・モール店に行きます。
店長に電池の交換を頼み、店頭に並べられた
田舎とはいえそれなりに何百万円台の宝飾品が
きらきらと並んでいるのを眺めます。

買う人がいるのか、経営は成り立つのか、
それでも時計店があれば町は少しきらびやかに見えます。

動き出した時計を受け取り、
同じフロアの書店に新聞広告の出ていた
文庫新刊を買いに寄ります。

あれほど堆く積まれていた
日食観測グラス付きムックは
全種類売り切れたようです。
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by otenki-nekoya | 2012-05-20 21:00 | 散歩

ひとかけらの雨雲

さやが紫で実が褐色のツタンカーメンのえんどう豆、
ご飯に混ぜて炊くと、ツタンカーメンの呪いで
お赤飯のような淡い小豆色になります。

別ゆでしたうすいのえんどう豆と
スナップえんどうの黄緑色を彩りに加え、
えんどう豆のピラフでベランダのランチ。

白い曇り空の奥から、重くて低くて
あまり大きくない青黒い雲が一塊近づいてきます。

その雲の下だけ白く雨が降っています。

そこを自転車で行く人、
いますぐ全速力で山側に向かって
それから右に曲がれば振り切れる──

などという訳にはいかず、
自転車の人は突然の雨に濡れ、
やがてベランダも雨に包まれます。
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by otenki-nekoya | 2012-05-20 20:54 | ベランダ

訪問者

ベランダに強い風が吹いています。

付き合いの長い鉢植えのミニ薔薇、
年間通してぽつぽつと数輪咲くのが常ですが、
今回は冬の寒さに心がけを改めたか
ざあっと一斉に百輪近く咲きました。

あのくらいの寒さが本来の環境なのでしょう。
色も濃く、暗い天鵞絨のような深紅です。

手すりにかけたゼラニウムも満開です。
紫がかった暗い赤。

明るい色の花はありません。
香りの佳いオリーブ、レモンの花は満開でも
どちらも白っぽく目立たない。


ぽ、っと黄色い光が現れます。
風にあらがって舞うキアゲハ。
この高さまで来てくれたのか。

ベランダに入ろうと力の限り羽ばたきますが、
抵抗むなしく、強風に吹き飛ばされてしまいました。

春型はあんなに小さいものか。
眩い黄色にくっきり黒いライン、
煌めく青の斑に赤く輝く紋、

ごくありきたりの蝶なのに。
あんなに美しい生き物でしたっけ。
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by otenki-nekoya | 2012-05-19 19:48 | ベランダ

五月

雨が香る。

今年は植物の生長が例年より一週間遅く、
通常ならば連休の頃に街中を芳香に包む
蜜柑や橙や檸檬や柚子などの柑橘の花が、
ようやく開いたようです。

びっしりと白い花をつけた柑橘の樹の横を通る時、
傘の中にすくい取られるように香りがこもります。

雨はほとんどやみそうですが、
傘を軽く回して香りを身にまといます。

薄紫に煙るセンダンの花、下を通ると甘く匂う。

小さな淡いクスノキの花、近くを通ると清しく薫る。
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by otenki-nekoya | 2012-05-15 20:04 | 散歩

旅の窓

連休は終わったけれど気候が良いので
がらがらの電車の乗客の大半は
大きな荷物を持って
車窓の外に見入る旅行者です。

背中合わせの席の後ろから、御婦人グループが
昨夜食べた珍しいものを数え上げる声がします。

海と山の間を抜けて、電車が平野に入ったとたん、
御婦人の一人が驚愕の声をあげます。
「まあ!田植えが終わってる!」
お連れ達は身近に田を見慣れないのか、
何がすごいのかぴんとこないようです。
「早いわ、早いわねえ!」
一人、感動しきり。
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by otenki-nekoya | 2012-05-08 20:02 | 散歩
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日記


by otenki-nekoya
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