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ふんわりこんもり

雨は朝にはやんだようです。
自転車で山に行っていた連れが
懐からワラビとゼンマイを
一本ずつ取り出しました。

灰色の空の下、少しの雨に洗われて
新芽の明るい黄色から常緑の暗い深緑まで
里の周りの山々は様々な色合いの緑に包まれています。

いろいろな緑が入りまじってあまりに綺麗なので
水路を遡って手近の里山へ歩いて行ってみます。
込み合った旧い家々の向こうのところどころに
新芽のふんわりこんもりとした森があります。
あそこに行きたい。

集落は水をはった田で終わり、
すぐそこにある森に行く道はありません。
でも田があるから畦がある。
あぜみち、というより純然たる田んぼの仕切りですが、
人一人ずつくらいなら歩けます。

田には植えられて間もない細い苗が並んでいます。
畦に沿ってスギナがいっぱい。
という事は、少し前はツクシがいっぱいだったのか。
「ツクシは採った事がない」
山菜ハンターの連れが言います。
そうですね、いつも気付くのは一本か二本で。
「だってそこらじゅうべったり全部ツクシだから、
わざわざ採る気にもならない」
そんな光景、見た事ないです。

ふんわりこんもりした森は、やはり神社でした。
向こう側に広い参道が通っていて、
石の鳥居の奥に高い高い石段があります。
鳥居の下に、白い幣を挟んだ縄が張られています。

「ここ、入れないよ」
連れが不安そうに言います。
そのほう、やはりもののけであったか。
「立ち入り禁止のロープが張ってある」
‥‥これは注連縄です。人の背丈より高いでしょう。
「入っていいの?」
人間でしたら。
遠慮なく、ずんずん急な石段を上がります。

鬱蒼と樹木が茂って薄暗いですが
手入れの行き届いた小さな境内に社殿があり、
覗くと五色の布やお神酒徳利などが並べられ、
奥の社が見えます。

境内から見下ろすと灰色の空を映した
田を一枚はさんで緑の美しい里山が並びます。
急な石段の下に白くまっすぐに伸びる参道。

なんだ。人間にしては稀な心浄い連れが
神域に入るのを躊躇する様に見えたのは、
高い石段が怖かっただけのようです。

木の葉に雨の当たる音がします。
境内に居れば護られてある身も、
いざこの神域を出れば忽ち濡れるであろう。
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by otenki-nekoya | 2012-04-30 19:56 | 散歩

マイ・バックヤード

川と川とにはさまれた一面の田んぼの中を
自転車で延々走って行くと
突然こんなところに、といった感じで
ガーデニングショップがあらわれます。

満開の藤棚の下の駐車スペースの横に、
樹齢十年くらいは経っていそうなずっしりした幹、
丈は人と同じ程ですが
伸びた枝一面隙間が無いくらい
濃いピンク色の細長い蕾がついた果樹が五本、
根を梱包されて軽トラで乗り付けたら
いますぐお持ち帰りできるように並べられています。

ものすごいほどの蕾にあっけにとられたお客が
「何の樹かしら」
「何か柑橘やねえ」
ととりまいています。
レモンです。
このまま庭か畑に植えたら良い香りの花が咲いて
青い実をまびいたら冬には自家製レモンが収穫できます。

普通のホームセンターの園芸部門は
どこかで育てた植物をトラックで搬入しますが、
ここは店舗の何倍ものバックヤードというか
広大な播種・生苗用の畑と温室になっていて
売り物のポット苗や樹木苗のほとんどは
ここで育てられるようです。

ガーデナーが夢に見る理想のバックヤード。
うちのベランダの多年生ハーブの
鉢の間にほとんど隙間はないのですが、
ディル、チャービル、ジャーマンカモミール等の
一年生ハーブの苗を買います。

久しぶりに来たら店内の
大型観葉植物のコーナーがなくなっていて、
カフェカウンターが出来ていました。
確かに、このあたりの人はあまり
屋内観葉植物に用はないでしょう。

市街地から離れていて川と山に近くて小鳥の鳴き声が響き、
見本のガーデンや見渡す限りポット苗の花が並ぶ
敷地のあちこちには居心地の良いベンチがあって、
ここでコーヒーが飲めれば申し分ないのに、と
私も前から思っていたのです。
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by otenki-nekoya | 2012-04-29 19:53 | 散歩

春の低気圧

また雨風が強くなると言うので
ベランダに固定したワイヤーを解いて
植え替えや整枝したばかりの鉢植えを
昨夜のうちに移動しておきました。

ひどく重量感のある5メートルほどの波が
砂浜に載る小舟ぎりぎりまで押し寄せ、
舟には触れず引いてはまた次の波が寄せます。
惹き付けられるようにずっと見入ってしまい、
靴の中までびしょぬれです。
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by otenki-nekoya | 2012-04-22 19:53 | 散歩

ぼくの先生は

『受けたい授業』にS教授が出ますよ。
「このごろよくTVに出るなあ」
先週、御本人はそんな話されてませんでしたか。
「全然しなかった」

番組の講師はキャラクター化されて
可愛らしく画面の中を飛び跳ねます。
「似てる!頭の感じがそっくり!」
偉い先生らしからぬ、あぶらっ気の抜けた笑顔が
TVと相性が良いようです。
社交的なタイプの前任者の後で、
学級肌のS先生は向いているのか、と心配もされたようですが、
なんだか楽しそうでなによりです。

「あのS先生人形、欲しいなあ」
あれはCGですよ。
「実在しないの?」
あったとしてもどうするんです。机に飾るんですか。
でもデータを落としてもらって、
講演で登場させたら受けるでしょうね。
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by otenki-nekoya | 2012-04-21 22:44 | TV

万象うごく

オリーブの木を大きな鉢に移しかえよう。
近くのホームセンターで鉢を物色します。

レジでは新しい鍬を買った爺様が
知り合いの女性と話をしています。
「足が生えたかしらん、クワが無うなってねえ」
「名前を書いちょきや」
盗難防止というより、古道具の化け封じの呪法のようです。

赤玉土も買って重くなったので、
自転車はこがずに台車代わりに押して帰ります。
地には花が咲き乱れています。
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by otenki-nekoya | 2012-04-16 20:24 | 散歩

ひとひら

地上より春の訪れが遅いベランダでも
ようやく新芽が動き始めました。

食用・実用植物ばかりなので、
木守一つに残したレモンのレモン色以外は
常緑・新緑の緑ばかりです。

サンドイッチにしようと鉢植えの
サニーレタスの葉をぱりっと折りとると、
桜の花びらが一枚はさまっていました。

ここまで舞い上がって来たんだ。

見下ろすと、ここからはもうほとんど
緑の葉しか見えない樹から、
時折ためていた息をはくように
桜の花びらが吹き出しています。
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by otenki-nekoya | 2012-04-14 18:45 | ベランダ

この物語見果てむと思へど

誰もが一度は読みたいと思っていても
なかなか手に取る事ができない作品の紹介番組、
旧教育放送の『100分 de 名著』、

春の番組編成で、水曜夜十一時に移動しました。

きた。
「『源氏物語』だっ!」
連れは以前から『源氏物語』が読みたくて読みたくてたまらず、
あなたは菅原孝標のムスメかっ、という程の入れ込み様ですが、
どの現代語訳も、特に優れているといわれるものほど、
「文学的過ぎて読めない‥‥」

それはまあ、自分で訳を書きたいと思う程の人は
それだけ原典に愛着が強いので、あまり平易にはしたくないでしょう。
連れはあくまでも『源氏物語』を「読みたい」のであって、
漫画や映画等、映像化されたものには関心がないようです。

番組の文学部教授の解説を聞きながら羨ましそうに言います。
「人間が作った架空の作品を研究する仕事って、いいなあ」
神が作った作品を研究する自然科学の
さしせまった必要性とは感じが違う、といいますか。
「遊びといったら失礼だけど、文化の余裕というのかな」

湯川秀樹博士の母君は明治の女ですが、
女学校で英語を習い、その後お琴やお茶等の習い事の他に、
国文の先生について『源氏物語』の講義を受けに通ったそうです。
現代でも、市民講座などで『源氏物語』は大人気のテーマです。
「このあたりじゃ、ないだろうなあ」
えっ、もしあったら参加するつもりですか。

実は私は岩波文庫版でも読めるのですが、
わかりやすく読み聞かせてあげる気にはなりません。
それこそ清少納言の言う『すさまじきもの』、
興ざめというものです。
あこがれを持つというのは、よい事だと思います。
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by otenki-nekoya | 2012-04-05 21:03 |

大風

気象庁が外出を控えるよう勧告するとは
穏やかではない、と思いましたが、
とんでもなく穏やかでない。

波裏の見える大波が防波堤で高く砕け、
ざぶりざぶりと防潮堤を普通に越えて、
道路にあふれひろがります。

満開の桜は案外強い。
花の塊がぶんぶんと振り回されます。
散るのは散る時の来た花なのでしょう。
足下に花びらが桜色の流れを描きます。

意外にも、大量に舞い落ちる落葉に春を感じます。
ごうごう鳴る空高く、
硬い殻を内側から粉々に砕いて脱ぎ捨てるように、
枯葉を落とし、透き通るような萌葱色の樟の新芽が。

私はこれ以上濡れようがないほど濡れてしまっていますが、
強風に舞う枯葉の中に立つと、清々しい香りに包まれます。
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by otenki-nekoya | 2012-04-03 21:34 | 散歩

ヒーロー

ワンマン電車と名乗っているにもかかわらず、
可愛らしい車掌さんも乗っている親切な電車です。

「□□、よし!ムセンキよし!△△△よし!」
若い運転手さんが車両に響き渡る大声で
作業確認をしながら電車を走らせます。
「しゅっぱつ、しんこうっ!」
道中ほとんど叫びっぱなしで、かえって
運転に集中できないのではないかと
こっちが心配になるくらい、元気一杯。
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by otenki-nekoya | 2012-04-02 20:32 | 散歩

花と小唄

花に嵐とはまさにこの事、
昨日はベランダの植木鉢が吹き飛ぶ程でした。

山の中程の、所々白いは山桜。
染井吉野は人が植えたところで咲く。
川に張り出した並木は七分で見頃です。

海に面した高校を一周してみました。
校舎を挟んで海に背を向けた校門前には
旧制中学以来の重々しい松や槙が
由緒ありげに整えられていますが、
桜の木はないようです。

この学び舎から街に出た卒業生達は
都会の「桜文化」に呆気にとられる事でしょう。
「私だって、東京に出て桜の気合いに驚いた」
雪月花全てに無縁だったんですね。


公園を通り抜けて帰ろうとすると、
桜を見上げた男性がゆらゆらと
土地に別れを告げる小唄をくちずさんでいます。

 し〜いばあしい わっかあれーの なみだがにいじ〜む〜

今も花を見ると想うのか。
あのうたは、軍歌です。
「え?あの人、そんな年じゃないよ」
子供の頃になじんだ歌なんでしょう。
「──って、大陸?」
違います。

 こ〜いし なあつうかあし あややや や〜あやや

うろ覚えだったのか面倒になったのか、
花を見上げたまま途中で歌詞が適当になります。
私が代わりに歌ってさしあげましょう。

 椰子の 葉陰に 十字星

「南方か‥‥あ!あ、そうか!」
地元の歩兵連隊が向かった地です。
本当にご家族が行かれたのかもしれません。
幼い頃の歌が懐かしいだけかもしれません。
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by otenki-nekoya | 2012-04-01 19:10 | 散歩
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日記


by otenki-nekoya
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