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つちぐもの裔

「殿上闇討」は『平家物語』冒頭の
「祇園精舎」に続くタイトルです。

 しかるを忠盛備前守たりし時、鳥羽院の御願、得長寿院を造進して、
 三十三間の御堂を建て、一千一体の御仏をすゑ奉る。(中略)
 上皇御感のあまりに、内の昇殿をゆるさるる。
 忠盛三十六にて始て昇殿す。


「父上、若い!」
主人公がまだまだ中学生くらいな感じですもんね。

 雲の上人是を猜み、(略)忠盛を闇討ちにせむとぞ擬せられける。

機転の効く平氏の頭領は、銀箔を貼った木の刀で危難を乗り切ります。


旧教育放送で、大逆の汚名が近年になって晴らされた
幸徳秋水の評伝を放映していました。
戦前まで郷里の墓碑は鉄格子に囲われていたほどの賊扱い、

さっき見ていた民放ドラマでは、国家権力が
沖縄返還絡みの日米密約報道を握りつぶすために
主人公の新聞記者を国家公務員違法(教唆)で
逮捕する場面で終わっていましたが、

大日本帝国明治政府のおそろしさ、
戦後日本昭和政府の比ではない。

秋水は悲壮にして格調高い名文家ですが、
たまたま別件で入獄していて大逆の連座を免れた
さかいさんという同士の文章は
身の周りのものを慈しむ優しい文章でした。

後年、主義主張を表明出来る時代になり、
さかいさんは自らを郷里備前に伝承の残る
「土蜘蛛の子孫」と号したそうです。

「つちぐも?妖怪?」
それは妖怪バスター源頼光に退治された奴です。
能や歌舞伎でばーっと糸を投げかける。

さかいさんの御先祖は‥‥
ほら、ここ、『平家物語』巻第五、岩波文庫版なら第二巻、
帝に逆らうものは皆滅びるという例を列挙した
「朝敵揃」のトップバッター

 夫我朝に朝敵のはじめを尋ねれば、
 やまといはれのみことの御宇四年、
 紀州名草の郡、高雄村に一の蜘蛛(ちちゅう)あり。
 身みじかく足手ながくて、ちから人にすぐれたり。


もとは日本書紀に載っているそうです。
「中央政府に従わない、そういう異民族なんだね」
まつろわぬ民というものですね。


「本のどこに何が載ってるか全部覚えてるの?」
まさか。
ちょうど数カ月前、王威がどれほど凄かったかという、
『平家物語』の中の例を話した事があったでしょう。

「土蜘蛛が人だというのははじめて聞いたよ」
人はさからうけれど、それ以前の生き物は。
「あ!鳥!」

 鷺を五位にぞなされける 『平家物語』 巻第五 「朝敵揃」
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by otenki-nekoya | 2012-01-29 22:35 |

寒中水行

冬の海は上からのぞけば
魚影が見えそうなくらい透き通っています。

魚影が、

見えたのでしょう、海上に停止して
そのまま脚から垂直に海に飛び込み、
一瞬で獲物をつかんで海面に飛び上がり、
すばやく横に飛び去った
細身の翼の猛禽が

あの動きは──ミサゴ

「ミサゴ?」
一旦ホバリングして真下に飛び込んだでしょう、
英語名はオスプレイ

「垂直離着陸機!」
獲物を獲ったら固定翼にしてさっとこの場を去らないと、
空中戦では勝ち目のない相手があちらで悠々と

英語名はカイト
「まさに凧だなあ、空ではトビに獲物を取られる」
翼を真横に開いてはばたかせず、
滑るように青い空を舞う
凧は水の中には飛び込めません。
きらきら光る干物の干場のネットの上を
時々惜しそうにかすめて飛びます。

寒のさなかのニュース映像は
プールに飛び込む大学生や
川に浸かる修行者や

魚を獲るためでもありますまい。
皆、何故冷たい水に飛び込みたがるのです。
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by otenki-nekoya | 2012-01-29 19:22 | 散歩

いぬが咲く

朝寝をして夢を見ました。

明るい光の射す友人の部屋で友人の帰りを待っています。
小さな犬の声が聞こえてくるので、部屋の隅へ行くと
花瓶に緑の植物がざっくりと生けられていて、
こんもり茂った葉の間から親指くらいの
小さな小さな茶色の小犬が顔を出し、
嬉しそうにこちらを見上げてわんわん、と吠えています。

緑の植物は蔓になり、少し押し上げられた木枠の硝子窓の間から
緑のカーテンになって軒先まで伸びています。
蔓のあちらこちらに、エニシダのような黄色い花のつぼみが
ぽつりぽつりとついていて、そのつぼみは

耳と目と口をぴったり閉じた小さな小さな犬の顔で
これから次々と耳を立て目をあけ口を開いて咲くのです。
喜んで首筋をかかれている手元の小犬を見下ろして
このこは

夢から覚めながら思います。
──枯れるのか。


私の見る夢は、いつもわかりやすい材料でできています。

犬は、
前前夜、TVで放映していた映画で
子供達が子犬を拾う場面を見ました。

花は、
摂氏七度を下回ってはいけないというので、
部屋の中に鉢植えの蘭をおいています。
十一月初めに二輪咲きました。
というより昨年咲き終わった後、
二つに株分けするのが本式の育て方なのでしょう。

白と、緑褐色の地味で奇妙な形の花が、
それ以降ふたつき以上に渡り咲き続け、
一昨日終わりかけた一輪を鋏で摘みました。
そう思って見れば両脇に黄色い耳があり、
茶色のリップがつんと尖った犬の鼻先に
似ていなくもありません。

花の名前はメモをみないとわからない。
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by otenki-nekoya | 2012-01-22 19:10 |

こんふぃちゅーる

冬の底のこの時期は樹上完熟レモンをたくさんもらいます。
果汁はほんのり甘く、皮を少しすりおろして
ドレッシングやソースに混ぜるとぱあっと香りが立ちます。

それにしても他の柑橘と違って
こんなにもらっても毎日はたべられない、と
しばらーく眺めていて、
‥‥あ。
レモンのマーマレードが食べたくなってきました。

果汁をしぼり、黄色い皮と白いワタの苦みを抜くために
何度かゆでこぼすのが手間といえば手間ですが、
内側に焦げがこびりついたステンレス鍋でこの作業をすると
柑橘オイルの力で鍋がぴかぴかになります
‥‥というのはさておいて。

私は皮にほんのり苦みがあるくらいが好きです。
鍋の中の皮に砂糖をたっぷりまぶします。
最近はたいていきび砂糖を使っていますが、
色があんまりきれいなので久々に白砂糖で。

しばらくほうっておいて、白いワタが透き通り、
水分が出て来たら、果汁を一緒にして火にかけます。
他の果物でもそうですが、砂糖の浸透圧のおかげで、
煮る時間が短くできます。

味見をしたら酸っぱくて香りが良くてとまらない。
少しとろとろしてきたら熱いまま
熱湯で煮たガラス瓶に移してとんとん叩いて泡を抜き
きっちり蓋をしてさまします。
さめたらちゃんとゲル化‥‥ジェル状になります。

まふゆの金色の太陽を封じ込めた硝子瓶。
うっかり全部食べてしまわないように、
夏までのお楽しみのぶんは奥のほうに隠します。

そこらでありあまるほど穫れた果実に
好みの量の甘味を加えて火を通して瓶に詰める。
それだけで一年ほんのり幸せ。

ブルーベリー、白桃、いちじく、ブラックベリー、
真夏の果実がガラス瓶の中で明日の出番を待っています。
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by otenki-nekoya | 2012-01-21 14:02 |

こけのむすまで

国歌斉唱のニュースについて話をしていて、
ふと気がついて、連れに改めて尋ねてみました。

あのー。
日本の国歌を知っていますか?
「『君が代』でしょ?」
歌えますか?

「♪しーろーじーにーあ〜か〜く〜 ひーのーまー」
‥‥。
「‥‥あれ?」

学校で習いませんでしたか。
「‥‥習ってない」
やっぱり。おそらく、地方の小さな小学校の校長先生は、
子供達に二度とこの歌を歌わせてはいけないと思ったのでしょう。
「曲はよく聞くけど。どんな歌詞?」

 きーみーがーあーよーおーはー ちーよーにーいぃやーちーよーに
 さーざーれーいーしいーのぉー いーわーおーとーなーあーりてー
 こーけーのーーむーうーすーう まーあぁでー

「すごい。何言ってるのかさっぱりわからない」
私も、小さい頃は「いわおとなりて」は
「岩音鳴りて」だと思っていました。
いわお、は大きな岩、
さざれいし、というのは小さな石です。
「小石が集まって固まって岩になって、更に苔が生えるまで?」
そうです。
「‥‥格調高いなあ」
古今和歌集の歌がもとだそうです。
お祝い事に歌うお目出度い歌ですね。

「君は学校で習った?」
はい。
都市部の大規模校で普通に。
推測ですが、あの頃には『君が代』のイメージは
すっかり変わっていたのだと思います。
「経済成長で戦争のイメージが消えていた?」
というより、東京オリンピックが転機では。
「そうか、オリンピック!」
たぶん、私達を教えた先生達は、子供の頃、
金メダルを讃える荘重な「日本の国歌」を
誇らしく聞いたのではないでしょうか。


まことにちいさなくにが、
開化期をむかえようとしている。

欧米諸国と交際するために必要な儀礼として、
欧米諸国に習いニッポンは国歌を作りました。
ちいさな開化国は奮闘努力し、胸をはり、
戦い、傷つけ、傷つき、立ち上がり、困惑し、
それらはみんな国家としての歴史だから、
当然その象徴である国歌にも歴史がある。

「傷が歴史になるのは、世代がかわってからだ」
だから、サッカーの試合の前に、
若者達はみんなちゃんと国歌を歌います。
「金メダルの時には荘厳でいいけど、
試合前に歌うとちょっと淋しくなる曲だよね」
仕方ありません。
明治の日本人は、西洋音階の歌が歌えませんでしたから。
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by otenki-nekoya | 2012-01-17 21:20 | 音楽

きたないはきれい

今年の大河ドラマは初回視聴率が低いと言われていますが、
多くの人に知られているような歴史上の有名人が
まるっきり出て来ていないのですから、仕方がない事でしょう。

「舞台になる県の知事が『画面が汚い』と発言したというけど」
観光振興を目論んでいるでしょうからね。
「きたないかなあ‥‥私はきれいだと思うよ」

私も、美しい映像だと思います。
埃にまみれ髪振り乱し
泥にのたうつ民を見て
汚しと言うは、
「白川法皇‥‥」
いくらなんでもそこまで傲慢だとは言いませんが。

「画面がきれい」といえば、一世代後の時代の『義経』、
内容はともかく、いかにも平安絵巻といった華やかさでした。
もう十年以上前になりますが、平安末期の装束と
似たような名前の平家一門のキャラを把握するために
ドラマを挿絵がわりに見ながら岩波文庫版『平家物語』
原文で読み通したものでした。

世話になっておきながらなんですが、
壇ノ浦の合戦のクライマックス、
清盛の四男・平家の知将、知盛卿
(平家物語の中では猛将・教経)と
義経が舟の上で相見える場面、
タッキーとアベちゃんが刃を交え、
画面一杯に金粉が輝き舞い散る!
「あれはさすがに、『うそだー!』と言ってしまった」

現実を逃れ、虚構に美を求めるという気持ちもわからなくはありません。
「虚構?虚構に興味はない」
確かにゲームにもアイドルにも興味は持ちませんね。
でも、年末年始に思いっきり「虚構」にはまっていたではありませんか。

「‥‥仏像?」
日本が世界に誇る、美しい虚構のひとつだと思います。
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by otenki-nekoya | 2012-01-15 22:09 | TV

出初め式

スピーカーから延々と流れていた
表彰式が終わったようなので、
近くの中学校に歩いて行ってみました。

校門内の駐車場は真っ赤な消防車両がぎっしり並び、
一般車は臨時駐車場へ誘導されています。

グラウンドは強風に黄色い砂埃を舞い上げ、
放水車が水を打っています。
礼服・各種作業着の消防士達の出店は子供達で大賑わい。
礼装にたくさんの勲章を付けた消防署長さんが
あっちへこっちへ走り回っています。

強風の中、来賓の市長はスーツの上に
ベンチコートを着せてもらってがちがち震えています。
元閣僚の議員はスーツで微動だにせず、
さすがは自衛官あがりです。

「A中学校の屋上に要救護者二名」
スピーカーから返信があります。
『了解。救助に向かいます』
『A中学校上空、北西の風9メートル』

頭上に消防防災ヘリが現れ、校舎の上空でぴたりとホバリング。
オレンジ色のつなぎの航空救助隊員二名がロープで滑り降ります。
しばらくして等身大の人形を抱え、一人ずつヘリに昇ってゆきます。

『要救護者二名、救助完了』
ヘリは低く旋回し、子供達がいっぱいに手を振ります。
戦隊ヒーローの顔の風船が、
ヘリに負けぬスピードで飛ばされてゆきます。

白いダウンジャケットが砂できなこもちのようになりました。
黒っぽいコートの人はなんだか明るい色になっています。

締めの一斉放水が、目立たぬグラウンドの南東の隅ではじまりました。
本来ならグラウンドのまん中で華々しく行われるところ、
この風では観客来賓、水を被る事必至です。

青空に噴き上げられる水の束。
北西の風9メートルにあおられてうねり、
白い龍が昇っていくようでなかなか目出たい。
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by otenki-nekoya | 2012-01-09 18:38 | 散歩

あの世の沙汰

「いいカネがあったあった!」
は?

「お寺の鐘!大きいよ、K寺のくらいある」
それは、突けばごおおおぉぉぉぉん、というくらいの。
「そのくらい。あの、鐘をぶらさげてる建物」
鐘楼。鐘付き堂ですか。
「そうそう、鐘付き堂がちゃんとある!」

明治の廃仏毀釈でほとんどの寺院が壊滅したこのあたりでは、
復興はおそらく檀家次第だったのでしょう。
たいていのお寺は新しい本堂の軒下にちょこんと下げた
火事で鳴らす半鐘のような、
叩けばかんかんと鳴りそうな小さな鐘ばかりです。
「あの鐘をつく太い棒も」
鐘木といいます。ないと突けません。

自転車で山沿いのコースを走っていた連れは、
ふとお寺の案内板を見かけて立ち寄ったのだそうです。
そうしたら。
「□□家の菩提寺だった」
ああ、なるほど!その手がありましたか。
△△財閥の力をもってすれば、たやすい事でございましょう。
「それが前の鐘は戦争で」
金属供出されたんですね。
では今の鐘は財閥解体後の寄贈ですか。
それでも□□家の財力をもってすれば、鐘の一つや二つ。

それで本堂は。
「見なかった」
鐘だけ見て来たんですか。
「だってすごいよ。総本山のトップの書が彫られてる!」
鐘の銘にですか。こんな辺境の末寺に。
まさしく、△△グループの力をもってすれば。

その山沿いの小さな村には
山のお寺の鐘が深々と響き渡るのでしょう。
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by otenki-nekoya | 2012-01-09 15:41 | 散歩

一月の連休

日射しは暖かいものの風が強く、
部屋から見下ろせる銅像に
立ち寄る人もありません。
ゴールデンウィークまでは県外ナンバーの車、
それもかなりの遠方のものが
ひきもきらず訪れていたのですが、
千円高速の終了と同時にぱったりと。

人望がない。
「人望の問題なの?」
地元紙は連休毎に県下主要観光地の人出を載せますが、
彼の同僚で歴史上のヒーローの銅像は
千円高速終了後も例年より多くの観光客を集めています。
「なるほど、人望がない」

海岸に出ると、いつものように浜に小舟が置かれています。
北から漂着したのはちょうどこのくらいですね。
「これは無理だ。外洋に出られる船じゃない」
静かな湾の中で網を引く舟です。

「せめてあのくらいでないと」
沖には青い海と空を背景に
背の高い操舵室を備えた漁船が見えます。
何が獲れるんでしょう。
「いまはサバだって」
誰が?
「七十九歳の漁師さん」
鍛え方が違いますね。

干物の干場の横には背高く、赤いアロエの花が咲き並び、
県外ナンバーの車を停めた観光客が、
おいしそう、と干物を求めて作業所に入ってゆきます。

「あ。少し人望がある」
銅像のまわりにもカメラや携帯をかざした人々が。
お正月休みよりものんびりして、人出が多いようです。
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by otenki-nekoya | 2012-01-08 18:33 | 散歩

世俗の書

連れが元英国首相の回顧録を読みふけっています。
やっと俗世に戻ったようです。

面白いですか。
「ファインマン先生の言う『別の言語』で書かれてる」
慣れないと読みにくい訳ですね。

分厚いハードカバーの帯が上にずれて
表紙の元英国首相の顎から上が白い紙に隠れています。
「丁度いいよ。毎回目が合うとこわい」

顔が白く覆われているのもこわいですが。
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by otenki-nekoya | 2012-01-03 19:32 |
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日記


by otenki-nekoya
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