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勤労に感謝

日曜日はいつもお休みのお店でも
週の中の祝日は普通に営業していて、
いつもシャッターばかりながめていた
町の電気屋さんや旧商店街のお肉屋さんなどの
中の様子がうかがえます。

錆び付いた大きなシャッターがあがって
部品の棚が詰まった、思いがけなく奥行きのある作業所や、
路上で組み立て作業をしている看板屋など、
日曜日とはうってかわって町が立体的に動いています。

昼からあがるはずだった雨は本降りになり、
海岸の干場では構えてあった何層もの台車を
無念そうに建物内にしまいこんでいきます。


日曜でもスーパーはやっていますが、
日曜と違って漁も普通にあったので、
そこの海で獲れたマグロの幼魚なんかが出ています。

マグロですがカツオよりまだまだ小さいくらい。
刺身にするともちもちと柔らかい。
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by otenki-nekoya | 2011-11-23 18:33 | 散歩

どさ、ゆさ。

ベッキーさん三部作を惜しむように読み終わり、
次に読む本を探していた連れが
「どうも文体にひかれるものがない」
などとさんざん贅沢を言ったあげく、
『日本語教室』(著/井上ひさし 新潮新書)を買って来ました。

一瞬、ついに小説に絶望したのか、と思ってしまいました。
しかし、文体への憧れなんぞをリセットするのに、
音としての日本語を考えるというのは妙案です。
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by otenki-nekoya | 2011-11-20 17:31 |

とらんす・ぱしふぃっく

波のない砂浜にぽつぽつと釣り人を見かけます。
青い海に沿って歩くのは久しぶりです。

昼過ぎに戻って来た連れが、出張先の話をします。
「海をはさんだむこうの県のTV番組が見られた」
海辺に立てばむこうの県が見えるのでしょうね。
「いつもこんな、むこうになにもない海を見慣れているから、変な感じだった」
隣の県どころか、旅先で隣の国が海の上にかすかに青く見えると、
いつも──少し衝撃を受けます。

この海のむこうはなにもない訳ではありませんが、
はるかはるかはるかかなたにあります。
距離があっても間にあるのが海だけならば隣国で、
連携だか競合だか、連日報道が白熱しています。

新しい小舟を海に出すらしく、数人の男性が舗装道路の上に
丸太を十本ばかり並べて身構えています。
トラクターで引っ張られて進む小舟の後ろからすかさず丸太を取り、
それを進行方向に置くと、ころころと丸太の上を小舟は移動します。

海に向かって開かれて、海によって閉ざされた地。
このあたりの人々はこのあたりで獲るもの、
このあたりで採れるものを糧に暮らすのです。
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by otenki-nekoya | 2011-11-13 19:52 | 散歩

鳥瞰

やはり雨になり、傘をさして川沿いを歩きます。
このあいだかわせみのいたあたりにかわせみの姿はなく、
水面にぽこん、ぽこん、と丸い影が浮いています。

綺麗な赤褐色のからだにくっきりと真っ白な羽根先、
嘴から頭へなぞるように柔らかい黄色、
ヒドリガモです。
北からの渡り第一陣が到達しました。
仲良しですが、二羽とも雄です。

堰というほどではないものの、川底が少し段になっているのか、
流れの途中が急な瀬になっているところがあります。
一羽がゆらゆらと下流に向かいます。
もう一羽が、え、そっちへいくの、と一瞬困ったように見えた後、
つつーっと先の一羽を追い抜いて、
えいやあ、という勢いで急流を越えました。

ところが、ゆらゆら下流に向かっていた先の一羽は
早瀬にさしかかるといきなりじたばたともがきはじめ、
くるりと向きを変えて上流へ戻ってしまいました。

‥‥おい。
先に下流で待っていた一羽は、
呆気にとられた──かどうかはわかりませんが、
ぱたぱた、と水面を離れて少し飛び、軟弱者の前に着水しました。

「飛んだ!」
飛ぶでしょう。ずっと北から飛んで来た渡鳥です。
「いや、飛べるんだったら最初から、飛び越せばいいんじゃない?」
うーん。
水面にいると程度が判らないのかもしれません。
私達は上から見下ろしているから、瀬の早さがわかりますけど。
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by otenki-nekoya | 2011-11-06 16:26 | 散歩

闇にかくれていきる

主題歌は大好きですが、小さい頃から歌詞に異議がありました。

 ひとにすがたをみせられぬ けもののようなこのからだ

けものは毛がふわふわはえていてかわいいじゃないか。

生来の怪奇趣味幼児、アニメも一所懸命見ていたはずですが
さすがにほとんど物語は覚えていません。
ただ、一つの場面だけが焼き付いています。

広大な地下室のような場所いっぱいに、
何百人もの青ざめた人々がざわざわと立っています。
腕を力なく上げて揺らしながらあらぬかたを見やり、
あ〜あ〜というような言葉にならない声を一斉にあげて。

画面は人々の胸元から見上げるような構図で、
高い天井の小さな上げ蓋のようなところから
主人公達がのぞき込み、
「たましいを取られちまった人間達さ」
というような事を話しています。

たましいを取られるってどういう事。
母に尋ねました。

「何も考えられないで、何も感じないで、からだだけが生きているって事」
何もかんがえられないで。
何もかんじないで。

そんなおそろしい。
あまりのおそろしさに、今でもこの場面だけが忘れられません。
結局、主人公達の活躍で魂を取り戻した人々は元通りの人間になり、
「しまった!あたしたちも魂を入れてもらうんだったよ、
そしたら人間になれたかもしれないのに!」
などと言いながら主人公達が去って行くオチだったような気がします。
いや、あなたたちの問題はそれでは解決しないだろう、と思いました。
けだかいたましいはもう持っているのに。


そして今回、『妖怪人間』まさかの実写化です。
いくらなんでも無理があるだろうとTVを見ていると、
通りすがりに、メイクをした手足の長い女優さんを見た連れが
「さすがだ!妖怪そのものだね!」
いえ‥‥これはまだ人間モードで。

その後、義憤にかられて奇怪な姿を露にした妖怪人間達を
またまた通りかかって見かけた連れが、
「あっ、他にも妖怪いたの!わるもの?」
いえ、これが主人公が変身した姿‥‥というか本来の姿というか
「ええっ、怖い!ちょっとこれは怖すぎる!」
‥‥逃げた。
大の大人が。

そうか、あれが普通の人間の反応なんだ。
心がどんなに正しく優しくても、
並外れた身体能力で人を助けても、
その外見だけで怖れられ誤解されてしまう。
だから人間になりたくてなりたくて。
なんという哀れな話。

ベムがヴァンパイア風の銀髪の美青年なのには驚きましたが、
人間不信で姐御肌で意外にコミカルなベラはまさにぴったり、
エピソードにも詩情がありますが、
謎の力に憑かれた人間達が引き起こす犯罪のほうが凄惨すぎて、
これはいくらベロが無邪気で愛らしくても
小さい子が見る番組ではないなあ。

しかし私がいまでも忘れられない
たましいを取られた人間のうつろなおそろしさにくらべれば。
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by otenki-nekoya | 2011-11-05 22:22 | TV

はしたなき

文体が伝染りそうになるのをおさえるのに一苦労です。
前置きが長くなりました。
帝、吹奏楽部、『黒死館』、平行世界──

初めて読みました、古野まほろ(ただし新訳)。
もれ聞く噂の数々に、臆した訳ではありません。

物理的に、同じ時空に存在し得なかったためです。
人口の年齢構成比率によって、町に一軒の書店での
ノベルス専有面積は極めて低く、
入荷新刊単行本は売れ筋、再入荷はベストセラーのみ、
という環境ではなかなか相見える事かなわず。

しかし大手出版社の新刊文庫なら、一度は棚に並びます。
この期を逃したら御縁はなかったものと。

十月の連休明けの週。
ありました。
『天帝』シリーズ第一作目が、
ただ一冊。
縦置きの新刊文庫お披露目棚に、
重ねて置ける厚さではない事はわかりますが、
捌ける度に補充する‥‥とも思えないので、
やはりこの町への割当はこの一冊。
ずしりと重い『果実』を手に、レジに向かいます。

覚悟して読みはじめたのですが、「完全改稿」の賜物か、
思ったよりはるかに読みやすい。
多言語による装飾は衒学的という訳でもなく、
ラノベ系の軽いタッチと登場人物、音楽付き、
『月光ゲーム』が聖典?あ、設定が90年だから。
90年なのにエヴァはあり。という以上に世界そのものが。
花咲く趣味的駄弁は埋め込まれた手がかりか罠かただの遊びか、
「姫川中学校吹奏楽部の歌」を斉音してしまう自分が情けない。
さて、拾い集めた鍵で犯人当てに参加、更に世界の開示、
ああ、ここは、居心地が良い──

そのはずです。
自らを卑下する主人公は、みんなに愛されてて、
偏った知力を称されて、鬱陶しい親はいなくて、
出て来る大人は理解があって。

そんな世界を紡ぐまほろ君と、そんな世界に馴染む自分が
いたましい。


現実に戻って言えば、学園の謎は別だてのストーリーにして、
ストイックにクローズド・サークルでのミステリを独立させていれば
普通にアリスの後継として新本格系で売り込めたのに、とは思います。
好きなものを全部入れ込んでしまうのはプロではない。

けれど。
いにしえの帝が命ずれば、飛ぶ鳥もひれ伏す。
言葉で世界を司る力を手にしてしまえば、
その欲望を押しとどめるのは容易ではなく。
その欲望のままに産み出された世界が人を惹き付けるのも真実で。

既刊一括通販購入、などという
大人げない大人買いをするつもりはありません。

まほろとはいつでもあそべるから。
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by otenki-nekoya | 2011-11-04 18:41 |

明治節まで雨だなんて

いつも部屋から見下ろす川に沿って、
傘をさして歩いていると、
暗い水面からきらきら輝く青いものが
暗く枝垂れた枝先にとまりました。

長い嘴、橙色の腹。
カワセミです。

青い海は今日も見られなかったけれど、
青いかわせみが見られたから良いでしょう。


『ベッキーさんシリーズ』を読みふけっている連れが言います。
「日本が戦争をしなかったら、こんな世界が残っていたのかな」
財閥、帝国軍人、華族様。
「それとも共産主義革命みたいなものが起きて、やっぱりなくなっていたかな」
みんな憧れますよね。
でもこの時代を再現するために、北村先生は短い話でも
これほどの量の参考資料にあたっています。

「かくのは大変だ」
欧州風の特権階級を出したいときは、マンガやアニメ、
エンターテインメント小説等ならば平行世界という手があります。
「日本が戦勝国に‥‥というのは無理があるね」
架空戦記ものではよくありますが、それだと「未来」
──私達にとっての「現在」が、大幅に変わってしまいます。
「ミッドウェー直後にでも、とにかく講和に持ち込むとか」
あるいは天皇制を残したように、GHQの判断で
他の組織も残された、という設定の小説もあります。

などと話していると、幼い親王様が正装で扇と松の枝を手に、
碁盤から飛び降りるという謎の儀式の映像がTVニュースで流れました。
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by otenki-nekoya | 2011-11-03 18:13 |

ザラマンダーよ燃えたけれ

小学生の時、家にあった『鉱物図鑑』を眺めていて、
とある不思議な石の記述を読み、本物がとても見たくなり、
もしやないだろうかと母の装飾品ケースを漁った事があります。

紫水晶、黄水晶、紅玉、緑玉、金剛石。
なあんだ、普通の宝石しかないじゃない。
翡翠、瑪瑙、猫目石、珊瑚、真珠、土耳古石。
そもそも子供が玩具に出来るような所に
本当に貴重な品を置く筈がありません。

小学校の図書室のクイーンから入って
家のハヤカワポケミスへ読み進んでいた中学時代、
黒い背表紙に金箔押しの題名を見て、
カーの、というかカーター・ディクスンの
『爬虫館殺人事件』みたいなものかな、と
古いけれど箱入りの立派な本を手に取りました。

(蛇を見るといまだに『爬虫館』のあのオチをやってみたくなります。
 今は創元推理文庫に『爬虫類館の殺人』で入っているそうです。)

豪華な館で起きた怪奇な殺人事件。
きれぎれに場面が思い浮かぶくらいで、
ストーリーは全くおぼえていません。
というか論理は全く通っていなかった。
ただ、私がずっと見たいと思っていた石がトリックに使われていて、
それがものすごく嬉しかった。
大人になったら絶対この石を買おうと思いました。

(そして実際に大人になったら、
 幸いな事に宝飾品に興味がなくなっていました。)

『鷺と雪』の最終話で、兄上が意味不明な文章の羅列を
主人公に自慢気に読み聞かせる場面があります。
並の煉瓦では建てられない建築は確かにあるんだ、と。
懐かしい。
欧州風に見せかけて、実は此岸には存在しない煉瓦で組まれた
伽藍の名は『黒死館』。
あらためて、ああ、この時代に書かれた作品だったのか、と納得します。

大人の本とはこういうものなのか、と
日本探偵小説界・三大奇書と呼ばれるものを
奇とも思わず三つとも十代のうちに読んでしまい、
親元を離れてはじめて、家にあった本は
奇を衒ったものばかりだったのだ、と知りました。
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by otenki-nekoya | 2011-11-02 18:49 |

はるばるのぞむ

夕暮れの町の中をブラスバンドの演奏が近づいてきます。
ニュー・オーリンズ式の葬送‥‥
いえ、聞こえて来た曲は

♪さらばーちきゅうよ ちゃちゃちゃちゃーん
 たびだーつふねはー ちゃちゃちゃちゃーん

野球の応援でお馴染みのテーマ。
まだそれほど息が力強くはない、中学生でしょう。

やがて通りに姿を現した制服姿の吹奏楽団数十名二列縦隊は
紫や水色に染め抜いた幟を背に立てて、合戦に向かうかのようです。

きらめく金管、弾けるティンパニ。
旧商店街を練り歩いてしかるのち、
演奏しながら学校に引き上げる途上なのでしょう。
何事か、と道行く人が見ています。
なかなかの苦行です。

♪だれか〜がこれをーやらね〜ばならぬう〜
 きたいーのひとおがーおれたーちな・ら・あ・ば〜
 ちゃらら ちゃらら ちゃらら ちゃらら ちゃらら ちゃらら ちゃん

昨夜なら仮装した若者がぞろぞろ歩いていても驚きませんが、
この制服楽隊は一体?

「定期演奏会が近いから」
あ、そうか。もう十一月ですね。
プログラムに載せる広告を集めて費用を稼ぎ、
町中の店舗にポスターを貼らせてもらい、
ついには路上で演奏しながら宣伝をする。
負けるな青春。
それにしても背中の幟に何と書いてあるのか気にかかります。
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by otenki-nekoya | 2011-11-01 20:41 | 音楽
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日記


by otenki-nekoya
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