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双子座流星群

上弦の赤い月が沈みかかる夜空の星の位置を
寝る前にベランダから確認します。
このごろ数回、夜中の決まった時間に目が覚めるので、
夜明け前の五時にすっと目が覚めたところで
膝掛けを羽織ってベランダに出ます。

計算通り、視界にぴったりと入るオリオン座、
強く光るシリウス、上に霞むプレアデス、
放射点の双子座はさらに上にあるはずですが、
軒が遮ってカストルとポルックスは見えません。
けれどこれで充分のはず。

と、思う間にきらびやかな銀の冬の星座の中
眩い金色の光が輝きます。
流れ星、というより花火のひとかけらが燃え尽きるように、
またひとつ、またひとつ。

ベランダに出ていたほんの数分の間に
金色の火の粉のような流星みっつ、
銀色の細い線を描く流星ふたつ。

この区切られた空の中で無精者がこれだけ見たのですから、
海や山などに寝転がって全天を見上げていた人達は
降り続く流星を体中で受けるように感じた事でしょう。
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by otenki-nekoya | 2010-12-15 14:49 |

徳川十五代

試験期間中の昼間の電車は満員ですが、
ほとんど男子は座らないで立ったまま、
そのかわり女子と違って勉強している子はまずいません。

私の前に立った少年は珍しく英語の参考書を手に、
古典的な赤い透明なプラスチック板を滑らせて
見えない単語を姿勢を崩さず考えています。
詰め襟のボタンを見ると、やはり進学校です。
しばらくして友人が隣に来たので、
お互い異なっている社会科の選択科目の話になります。

「徳川十五代、全部覚えないといけないんだよ」
参考書少年は日本史を取っているようです。
「鎌倉時代からの守護とか‥‥結構大変。
 地理ってどんなの?」
ちょっとふっくらした友人は軽く眉を寄せます。
「鉄鉱石の輸出国とか産出量とか」
「‥‥」
「輸入国とか」
‥‥。
「‥‥面白い?」
友人は吊り革にだらん、と手をかけます。
「おもしろい、というもんじゃないなあ」
「日本史がましだよ。覚えなきゃいけない事多いけど」
揺れる電車の中で姿勢良く立つ少年が言います。
「面白いもの」

そうなんですよ。
それに、徳川十五代は一度覚えれば一生使えるけれど、
鉄鉱石の輸出国なんて数年経てば変わるしね。

今の時代は徳川十五代の名を調べるなんて一瞬の間にできるので、
わざわざ覚える必要なんてなさそうに思えますが、
それでも自分の中にラベルのついた棚として持っているのと
一度ネットで調べてからその時代の関連事項に移るのでは
手間も深みも全く違う。

受験科目のかねあいで放棄せざるをえなかったもので、
なんでも丸暗記できる年頃に無理にでも
詰め込んでおけばよかった、と後悔するものは意外とあるものです。
覚えよ、若者。
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by otenki-nekoya | 2010-12-14 14:44 | 普段

カウントダウン

先月終わった大河ドラマの最終回は、
主人公の運命が詳しく判っているものですから、
あっ、近江屋に居る、ああ、風邪を引いている、
あああ、慎太郎が来た、
ううっ、峯吉が軍鶏を買いに行ってしまった、
わああああ、扉が叩かれる──、
と一場面ごとに大騒ぎをしてしまいました。

年末三年連続大河ドラマでも、
原作は十年以上前に読んだので細部は忘れましたが、
『病牀六尺』を読んだ事もあり、
主人公の一人の運命が詳しく判っているものですから、
あっ、新聞連載が百回を越えた、ああ、糸瓜の水を採っている、
あああ、筆を手にした、『へちま咲て──』だああ、
と、大騒ぎをしてしまいました。

騒いでどうする。

去年まで「まさおかしきって何書いたひと?」と言っていた連れは
「兄さあ、どこにおるんじゃ」と、
りいさんに成り切って悲嘆に暮れていました。
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by otenki-nekoya | 2010-12-13 16:47 |

Audubon's Birds of America

まだ先の事ですが、鳥の絵なら種類が多いから
酉年の郵便局の年賀状とはまず被らないだろう、
アメリカの鳥の絵ならどうだ、
ニワトリの原種は‥‥アジア産だからいないか。
などとめくっていた図版それそのものが
新聞の一面目次のところに載っていて、
なんで今、と記事を読んでみたら
オーデュボンの「アメリカの鳥類」がサザビーズで
印刷書籍としては最高価格で落札された、というニュースでした。

米南部の、鳥類学者の名を冠した公園と動物園に行った時、
お土産に、掌に載るくらいの可愛らしくも分厚い
“Audubon's Birds of America”を買いました。
大判のものは高価過ぎましたし、
小さいのに細部まで見事に再現されているのでこれで充分。
そのままカラーコピーしてフォトフレームに飾るとぴったりです。

今回9億6500万円で落札されたものと同じ
435葉の美しい鳥類画がこのてのひらの上に。
今となってはネットで安く簡単に手に入るのでしょうが、
あの湿地の生物の楽園で手に入れたという事が大切なのです。

新聞紙面には鮮やかな 46 Greater Flamingo と
モノトーンに近い 237 Snowy Owl が載っています。
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by otenki-nekoya | 2010-12-10 14:05 |

昔々、学生時代に行った展覧会で買い込んだ
お気に入りのうさぎのポストカード、
この次の卯年になったら年賀状に使おうと、
もう何年も前から思っていたのに、
なんと郵便局の絵入りはがきと被ってしまいました。
うーむ、残念。

もとはといえば文学好きの親戚が宮尾登美子の小説を読んで
上村松園の代表作「序の舞」を見に行きたいと、と仲の良い母に言い、
文学に本来関心の薄い理系な母は
私を連れて行けば大抵の話は合わせられるだろう、と
三人で隣県の美術館まで出かけていったのが
上村松園・上村 松篁・上村淳之の三世代展、
ずいぶんと昔の事となりました。

松園は凛とした「序の舞」よりやはり「焔」のインパクトが凄くて、
六条御息所の生霊がテーマとされてはいるものの、
いきなりこの怨念は何事、という迫力。
私はもっぱら伝説の母・松園の美人画よりも、
鳥ばかり描いている息子・松篁作品の方が趣味に合って、
指差しては鳥の名を呟いて、美術鑑賞というよりは
ほとんどバード・ウォッチャー状態でした。
親戚はもちろん図録を購入したのでしょうが、
その時に私が何枚か買ったポストカードの中で、
美人画でもなく花鳥図でもないのが
上村 松篁 作 「兎」。

日本を代表するうさぎさんだったんだなあ。
これは自分の眼力を誇り、年賀状に使うのは諦めるしかありません。
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by otenki-nekoya | 2010-12-04 13:56 | 美術

一・藤・斉

山風といえば開化物第二弾の
『幻灯辻馬車』が角川文庫の新刊として復刊しているではありませんか。
幼い娘が呼ぶと、幽霊となった会津藩士の父が
血まみれの姿のまま助けに現れるのです。
こちらは『警視庁』より少し後の、
過激な自由民権運動が背景になっていたと思います。

警視庁に勤めた斉藤一のほうは、全部は読んでいませんが、
晩年、明治の若者に新撰組時代の懐古譚を語る
浅田次郎の『一刀斎夢録』が面白かったです。
浅田次郎作品は「泣かせ」の場面が入るので私はあんまり好みではないのですが、
これは仕事場に置いてあった週刊文春に連載されていたのを
一週遅れで読んでは、いきなり廊下で居合い抜きの練習がしたくなるくらいの、
さすがの練達の文、上手いものだと感じ入りました。
連載は終わったので、間もなく単行本になると思います。
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by otenki-nekoya | 2010-12-02 13:44 |

扉を開く者

「龍を斬った男」が京都見回り組
今井信郎とされている事を知ったのは
山田風太郎の『警視庁草紙』第一話でだったでしょうか。
山風時代小説はどれだけ荒唐無稽な展開でも、
歴史的事実の枠だけは絶対に変えないという縛りがあるので、
見回り組・今井も、新撰組・斉藤一も、新政府では
東京警視庁の巡査となった事をこの話で知りました。

実行犯は見回り組としても、もっと大きな黒幕が居るのではないか、と
歴史好きは各説並べますが、一年近く盛り上がった大河ドラマも
最後に近づくうちにそんな事はどうでも良くなって来て、
もう、誰がやっても不思議は無い、チャンスのあるものが犯人だ、
というくらい暗殺の必然性を納得させてしまう作りになりました。

是か非かは個人の立場によって違うから、
いずれ歴史が証明する、と言いますが。
今でも扉を開いた者達は追われ続けます。
彼等が斬られようが囚われようが、
一度開いてしまった扉は二度と閉ざす事は出来ないのにも関わらず。
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by otenki-nekoya | 2010-12-01 13:31 |
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日記


by otenki-nekoya
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