narcia

nekoya2010.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:味( 24 )

水底の魚

寒いので魚が美味です。


「ホウボウってこんなに味が良かったっけ!」


ホウボウだと判りましたか。

判りますよね。

大きな頭と翼のような極彩色の鰭と脚のような鰭がなくても

赤い三角錐のような胴体でその正体は知れる。

このへんでは鯛漁の網についでにかかる魚なので、

気の毒な程安価です。


「ソースがすごく合ってるよ」


骨ごと調理すると出汁がおいしい。

塩をした魚の背の両面に焦げ目をつけたあと、

フライパンの隙間に切ったトマトを敷いて、

蓋をしてじゅわっ、と蒸します。

皿に載せてオリーブオイルEXVを垂らして

刻んだパセリとディルをたっぷりふりかけます。


いわばアサリなしのアクアパッツァ。

トマトはこのへんの園芸農家から出る

規格外のフルーツトマト。


冬と春の出会いの一皿、

年中作れるけれどこの旨味はこの時期限定。


寒さはそろそろ底をうつようです。

日がみるみる長くなってゆきます。



[PR]
by otenki-nekoya | 2015-02-07 21:50 |

なないろの餅

色とりどりの餅が並んでいます。


赤(たかきび)、橙(黒糖)、黄(こきび)

緑(あおのり)、紫(紫芋)、白(餅米のみ)

豆入り(落花生)


いずれの餅もこのあたりで穫れた餅米に

このあたりの穀物などを搗き込んだものです。

あおのり、黒糖は隣村でつくられています。


たかきびは香ばしく、芋はほんのり甘く、

白餅ですら米の風味があって

どれも何もつけなくとも美味しい。



年の瀬、齢八十を越えた婆様が忙しい忙しいと、

落花生餅を連れのところに置いて行きました。

世話になった人達に配って回っているのだそうです。


婆様が育てた餅米と落花生で出来た餅。

どんな資料にもこの餅の事など

数値として記載されてはいないでしょう。


いわばヤミに生まれヤミを流れる餅。


正月早々私達はヤミの餅をうましうましと喰ろうております。



みなさま今年もよろしくお願い致します。


いえ、餅の事ばかりではなく。



[PR]
by otenki-nekoya | 2015-01-02 22:19 |

魚群

たくさんの銀色の魚の腹がきらきらと光ります。


サバ、アジ、カマス、タチウオ、

どの魚もぴんと体を伸ばして

口の先から頭、胴、尾の付け根まで

ぎっしりとすし飯を詰められて。


人の集まりには姿寿司が付き物の土地です。

店舗の冷蔵ショーケースいっぱいに、

魚まるまる一本酢締めにして酢飯をつめた

豪快な寿司が数限りなく並べられています。


タチウオも同じように姿寿司だったら怖い。

タチウオだけは捌かれて光る皮を内側にして

いわゆるバッテラの形になっています。


[PR]
by otenki-nekoya | 2014-12-31 21:51 |

オムレツって

「オムレツって、和食?洋食?」


連れの質問は常に純粋な質問であって、

決してなぞなぞやひっかけクイズではありません。


オムレットはフランス語ですが。

「フランス語なんだー。それで?和食?洋食?」


‥‥。



先日、連れの出張先のホテルの朝食が

見晴らしの良い最上階で。

「ビュッフェで並んだ料理を順番に取って行ったら」

料理人がその場でおいしそうなオムレツを焼いていたのだそうです。

「でももうスクランブルエッグとってたし」

皿に載せていて冷めないように、料理の最後で焼いていたのでしょうね。


「最後じゃないよ。そこからは和食の料理が並んでた」

もしや。

「洋食のコーナーと和食のコーナーの間で、焼いてた」

それで。

「和食と洋食のどっちなのかなーと思って」



オムレツはですね。


まず最初に。

卵を割ります。


[PR]
by otenki-nekoya | 2014-12-06 21:39 |

きゅうりの日々

夏野菜というけれど
このあたりでは本当の夏になると
夏野菜はなくなります。
日射しで茎も蔓も枯れるのです。

去年は七月早々梅雨が明けてしまってたいへんでした。
九月になって、産直市の苗を手にしながら
「今からキュウリを植えたら実るろうか」
「できるできる、植えなさいや」
と会話している婆様達がいました。
胡瓜の食べられない真夏だったのです。
私は代わりにひたすら白瓜を食べていました。

他所の土地から運ばれて来た
高価で味のしない野菜を食べるという習慣は
このあたりにはありません。

去年の仇を取るかのように、
今年の七月は毎日のように方々から
山盛りの夏野菜をいただきました。
集合住宅の入り口にまで「ご自由にお持ちください」と
紙袋いっぱいの野菜が置かれます。

去年の仇を取るかのように、
今年はキュウリがものすごく獲れたらしく、
やたらとキュウリをいただきました。

火を通す野菜はまだ、かさも減るし保存もできますが、
こんな水分たっぷりの大量のキュウリ、
日持ちもしないものをどうしろと

‥‥水分。

毎日、キュウリに果物ジュースを少し混ぜて
ミキサーでジュースにしてみます。
甘いジュースでも、塩味にして冷たいスープ風でも、
何を混ぜても失敗なし。これは良い。

すっかり毎日の習慣にしていたら、
梅雨が明けて真夏になりました。
もうもったいなくてジュースにはできない。

さらば、きゅうりジュース。
さらば、トマトソース。
さらば、七月の日よ。
[PR]
by otenki-nekoya | 2014-07-31 21:21 |

しばもち

太陽が真上からさし、影が消えて町が光で真っ白です。
例年この時期は曇っているので、あまり見ない光景です。
海風が吹いて、日陰は申し訳ないくらい爽やかです。

のどかな日曜のローカルニュースを見ていると、
海を見下ろすお寺を訪れた巡礼さん達に地元の人が
「柏餅をふるまいました」という映像が

‥‥それ、柏餅じゃないだろう。

菅笠を被った白い巡礼装束の娘さんが、
葉っぱをはいでかぶりついたあんこのはいった餅は、
てのひらサイズのまるっこい葉っぱ二枚にはさまれていました。


子供の頃引っ越しして、驚いた事のひとつは

かしわもちが、かしわのはっぱじゃない!
という事はつまり、かしわもちが存在しない!

そのかわりにみたことのないものがでてきたのです。
あの、もこもこと人の指のようなでっぱりのある
大きな一枚のはっぱにくるむのではなくて、

なんだかそのへんで取って来たような
はっぱの先と柄のところがちょっととんがった、
まるいはっぱ二枚にはさんで蒸したおもち。
光沢もなんだか違う。

柏餅の葉っぱを食べる人はあまりいないと思うので、
たとえ包む葉の種類が違っても、
中はあんこの入った餅なので問題はないのでしょうが。
それ以前に甘いものが苦手な子供だった私は、
食べられなかったので関係ないのですが。

後に、あの菓子はそこらの葉っぱを貼ったわけではなく、
広い地域に渡ってひろまっている、
「しば餅」というものだと知ってまた混乱しました。

「しば」のはっぱ?
引っ越す前のおうちにあったしばふの芝‥‥じゃないし、
おじいさんは山へしばかりにの柴‥‥?
‥‥あれは小枝だ。

さるとりいばら、という冬枯れの姿が印象的な植物と
あのちょっととんがりのある丸い葉っぱが結びつくのは
更に後の事でした。

私が子供の頃の菓子は総じてものすごく甘かったのです。
今は、いわゆる「あまいもの」もおいしくいただいています。

あ。

今気がついたけれど、私、しば餅食べた事がないんだ。
子供でもなければわざわざすすめられる事もありません。
食べつけていないものはなかなか買いません。
いただきものの菓子は、箱入りの日持ちのするものばかり。


いつもの産直市で野菜を買う時に、
出来上がりのタイミングと会えば
地元の餅米を搗いた柔らかいあんこ餅や
黒砂糖の皮のふかしたての饅頭等、
その日のうちに食べ切る手作り菓子が並ぶので、時々買います。
今の時期は、手作りのしば餅に出会えるかもしれません。

おじいさんが山に入ってさるとりいばらのトゲにからまれながら
わざわざ取って来た葉っぱかどうかまではわかりません。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-06-16 22:04 |

びわを煮る

雨が少なかったせいか、今年のビワはおいしい。
雨が少なかったせいか、今年のビワは傷みが少ない。

だからといって。
一度に百個以上もらっても。

と、思っていたらレモンをもらいました。
冬場はそれこそ百個以上もらったレモンですが、
この時期には有り難い。

よーし、ビワも瓶詰めにしましょう。

ビワは空気に触れると錆色になるので、
皮をむいて、割って種を取って、
面倒だけれど内側の薄皮も除いて、
ひょいひょいと塩水にほうりこみます。

これどうするの、というくらいあったビワが
皮と種を取ると、なんとかなりそうなくらいの嵩になりました。
種は砂糖を入れて焼酎漬けにすると風味の佳い種酒になりますが、
生薬成分が強いのでたくさんは飲まないように。

あとは他のジャム作りと一緒で、
鍋に入れた果実に砂糖をまぶしておきます。
丸い形がかわいいので、つぶさずそのままにしました。

数時間後に見ると、びっくりするほど水分が出ています。
たしかに、ビワをむくと、つつーっと汁がこぼれ落ちるけれど。

子供の頃、ビワの汁は茶色くなって取れないから、
決して衣服につけてはならぬ、と厳しく言われました。
鉄の掟にしたがい、ぽたぽたとテーブルに落ちた露も確実に拭き取ります。

砂糖の量を加減するために
たっぷりの果汁に沈んだビワを食べてみると、
これはおいしい!生のビワのシロップ漬け、
皮をむいてあるので思わず次々と手を出して
‥‥我にかえります。

鍋を火にかけて、果実にひたひたになるくらいまで水分をとばします。
酸味のある果物には私はレモンを入れないのですが、
ビワは酸味がないので最後にレモンを絞り入れます。

実の形を残しているので、ジャムではなくシロップ漬けになりました。
煮沸消毒したガラス瓶に果実を詰めて、シロップで覆って泡を抜いて、
熱い瓶をタオルでつかんで蓋をしっかり閉め、ラベルを貼ります。

やさしいオレンジ色。
ラベルがなければすぐに何だったかわからなくなるでしょう。

それこそレモン色から暗い橙色まで、
冬から春にかけての柑橘類の瓶詰めの
一番奥に並べます。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-06-09 22:30 |

さといもソースグラタン

このあたりの旧い農家は床下に
土を四角く掘抜いた昏い穴を隠していて

その名は「いもつぼ」。
いわば大きい床下収納なのですが、
秋に収穫した芋を保存しておくと
凍みず温もらず良い具合で、
特にサツマイモは数ヶ月かけ水分が抜けて
味が凝縮されてより美味しくなるそうです。

そんな収蔵設備はないけれど。

寒い部屋の籠の隅にいくつか残っていた里芋を、
ポタージュにしようとしなびた部分を削り、
白いきれいなところを電子レンジで加熱し、
少しの牛乳を混ぜてミキサーにかけると

あれ?いつもの灰色で里芋の香りのするポタージュではなく
真っ白でにおいのないもったりしたペーストができました。
スプーンですくって食べてみると

これ、まるっきりホワイトソースじゃないですか!

予定変更。
出初めの新タマネギと海老を電子レンジで加熱、
茹でたマカロ二と里芋のソースであえて
粉チーズ、パン粉、パセリを散らして
オーブントースターで焦げ目をつけたら

バターで作ったペシャメルソースに遜色ない
堂々たる海老マカロニグラタンができました。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-02-23 22:29 |

いちがつのいちご

この冬は十二月から「真冬並みの寒さ」に襲われ続けたので、
本物の真冬なのに日が長くなったぶん春めいて感じられます。

この寒中に、このあたりの温室イチゴが
出荷シーズンに入ったようで、
産直市にイチゴのパックが並び、
カフェを併設した駅前のパン屋さんは
ぴかぴかのいちごを載せたタルトと
いちごだいふくパンなる季節商品を並べています。

公園の向かいのケーキ屋さんはイチゴ祭りと称し、
イチゴのショートケーキやイチゴのムースや
イチゴのロールケーキの幕で囲まれています。

みんなどれだけイチゴが好きなんだ。

連れがケーキを買って来てくれました。
「ガなんとかとフレーズとかなんかそんなの」
ガトー・オ・フレーズ。
「そうそう」
いちごの、ケーキ。

真っ白い雪のような生クリームの中に、
真っ赤ないちごが載っています。

単純にして完璧。
おそれいりました。
[PR]
by otenki-nekoya | 2013-01-20 21:32 |

てん・てん・てん

ずっしりと朱に実った柿の木から
青空の中にむかって等間隔に
てん、てん、てん、てん、と
白い点が。

近くで見ると、柿の木から蔓をのばし
上を横切る電線に電飾のように絡んで
大人の拳ほどの大きさのクリーム色の実を下げた
チャーテ、一般名ハヤトウリです。

いったいどこまで伸びるのやら。
よく街路樹の枝切りや銅像の掃除をしてくれる
電力会社の高所作業車に頼めば収穫してくれるでしょうか。

チャーテはあまり味がないなどといわれますが、
千切りにして生でしゃきしゃき酢の物にしても、
半透明になるくらい炒めても、
ほんのり瓜の風味があって私は好物です。

生で食べられるのに、汁が手について乾くと
ぱりぱり糊のようになってなかなかとれません。

実は白と黄緑の二種類があります。
中に薄い種があり、野菜籠の中にころがしておくと、
ぐいっと緑の蔓が突き出てびっくりします。
[PR]
by otenki-nekoya | 2012-11-04 20:05 |
line

日記


by otenki-nekoya
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite