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西郷さんのかいだん

田町駅の「西郷南州・勝海舟会見の図」の壁画の前を
私は昔、いつも全力疾走していました。
色鮮やかな陶板のモザイク画は、以前は階段の横の壁にあったのです。

刃に襲われ、刃に護られ、危うく首を落とされずに済んだ
英国公使ハリー・パークス卿は日を改めて帝に謁見を済ませ、
横浜に戻ってきした。

さっそくサトウ君は情報収集のために江戸に行き、勝安房守を訪れ、
「新政府軍参謀」の西郷と「幕府陸軍総裁」の勝の談判の様子を聞きます。
丁度大河ドラマでやっていた、有名な薩摩藩蔵屋敷の会見です。

 勝は、慶喜の一命を擁護するためには戦争をも辞せずと言い、
 天皇の不名誉となるばかりではなく、内乱を長引かせるような
 過酷な要求は、必ずや西郷の手腕で阻止されるものと信ずると述べた。
                 『一外交官の見た明治維新(下)』

「ドラマで、西郷は勝から受けた条件を伝えに、
江戸からわざわざ京都まで戻ってたね」
官軍の攻撃は西郷の権限で止めましたが、慶喜の処遇については
京都の太政官代(プレ新政府)で検討しなければなりません。

「大変だなあ。京都まで‥‥馬で?」
西郷は馬に乗れません。駕篭で。
「えっ、西郷さん馬に乗れないの?あ、馬が可哀相か」
‥‥とにかく急いで!

私が昔走っていた田町駅階段の横で
どっしりと構えているように見えた西郷さんが、
そんなに走り回らされていたのだとは知りませんでした。

西郷大移動の間に、勝先生がハリー卿に頼み事をします。
「幕臣が英国大使に?」
京都から戻り、横浜の英国大使を訪ねた西郷に、
ハリー・パークス卿が言い渡します。

 卿は西郷に向かって、慶喜とその一派に対して過酷な処分、
 特に体刑をもって望むならば、ヨーロッパ諸国の輿論はその非を鳴らして、
 新政府の評判を傷つけることになろうと警告した。
                  『一外交官の見た明治維新(下)』

「慶喜の首は取るな‥‥と」
薩摩についてたはずのイギリスが、急にこんな事を言うとは。
「さすがは勝先生、使える者は英国公使でも使う」

 サトウがその節の書記生だから、よく知つてるよ。(略)
 アア、パークスとは大変仲が好くて一番贔屓にしたよ。
                      『海舟語録』

首なんて。
いちいち取っている場合ではありません。

江戸城に向けられなかった大量の欧米製の銃火器は
大河ドラマのヒロイン達が静かに暮らす
北へ北へと押し寄せていきます。
by otenki-nekoya | 2013-06-07 16:10 |
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日記


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