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びっくりするお話

明け方に見た夢をそのまま小説の書き出しにする、
いしいしんじさんの執筆作法が朝刊に載っていました。

夢をうつしたような文章といえば、いしいさん、
川上弘美さん、稲垣足穂、横綱は百鬼園先生。
漱石先生の夢は夢としては筋が通り過ぎている。
夢を言葉に置き換えるのは至難の業です。


例えば私が今朝見た夢。

 本棚を片付けていて、床に近い棚の学術雑誌をめくってみると、
 論文の余白に複数の手書きの書き込みがあります。

 『今やってるシークエンス解析のほうがこれよりよっぽど難儀だ!』とか
 延々配列を書き並べて『誰か解読お願い〜』というような。

 論文発表者の一人の名前に矢印をひいて、
 『この先生、外国人に囲まれて車に乗せられてた!』
 私はその現場を思い浮かべながら、
 いや、あれは□□大学の先生達が迎えに来ただけで、
 誘拐じゃないから、と思ったり。

 書き込みが面白いからこの雑誌捨てられないなあ‥‥

本を片付けながら捨てたくない、
という未練の気持ちがありありと現れています。
紙にペンで書かれてはいるけれど書き手が不特定多数で、
これはネットの書き込みのイメージですね。


例えば昨日見た夢。

 明るい部屋の隅に、友人が静かに座っています。
 彼女の傍らに、茶色い小さなものが
 ぱらぱらと十個ほど浮かんでいます。

 地味な色合いの蝶です。
 膨らませた透明なビニール袋の中に
 とまっているかのようにまとまっています。

 この蝶はそれぞれ、彼女に寄せられた想いなのですが、
 蝶達はあまりにも控えめで、彼女はすぐそこにある
 そのひっそりとした存在に気付いていません。

 彼女はこのままずっと蝶達に気付かないんだろうなあ、と、
 しんみりとしたような微笑ましいような気持ちで眺めています。

最近友人が結婚しました。夢に出ていた彼女とは別の人です。
蝶は、蝶のコレクターが登場人物のTVドラマを見たせいか。


私の夢で見えている物は「気分」を説明するための道具で、
素材の出所はごく手近なものが多いようです。
もう少しタガのはずれた、奇想天外な夢が見たいけれど。

いや、そうではありません。
夢を人に伝えようとして、
あるいは自分が覚えていられるように、
カメラで撮った映像のように描写すると、
夢らしい奇妙さが失われてしまうのです。
本当はもっと何層にも意味不明なものが絡まっていたはずなのに。

インタビュー記事でいしいさんも言っています。
「奥行きがあり、いろんな出来事が詰まった夢を、
 そのままの手触りで小説にするのには、
 すごく時間がかかります」

それはそうと、いしいさんのもう一方の名人芸、
その場の思いつきでつくってしまうお話、
なんと出版されるんですね。楽しみです。

子供の時って、よく思いつきのお話をつくりましたよね。
口から出たとたん自分でもびっくりするような、
めちゃくちゃな、うそっこのおはなし。
楽しかったなあ。
もう自分ではつくれないから。
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by otenki-nekoya | 2012-09-12 21:10 |
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日記


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