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いとけなきもの

駅のベンチに座っていると、子雀が降りて来ました。
「すずめ、すずめがきた」
斜め向かいのベンチのお祖母様が、お孫さんに教えます。

 頭は 尼そぎなる児の、目に髪のおほへるを、
 かきはやらで、 うちかたぶきてものなど見たるもうつくし。


二歳くらいの女の子は、こんな近くで見るのは初めてなのでしょう、
息をつめて、小さな生きた鳥に釘付けです。

 すずめの子の、 ねず鳴きするにをどり来る。

と言うけれど、呼べば来るかな。
と思ったら、呼ばなくても、来ました。
ちょん、ちょん、と跳ねて私の足下に寄ってきます。
「まあ、気にせん事ねえ」
私は石地蔵のようなものですから。

吸い込まれるように、それでも精一杯そうっと、
女の子がと、と、と子雀に向かって足を踏み出したとたん、

彼女の頭上をかすめ、屋根をくぐって
雀は空に飛んでいきました。

 雀の子を犬君が逃がしつる

見送る背中が喪失感でいっぱいです。

やがて、小さな女の子は両足をそろえて、
ぴょん、ぴょん、と前へ飛びました。

すずめ、すずめ、あたしはすずめ。
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by otenki-nekoya | 2011-07-12 20:07 | 散歩
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日記


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