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電話ぼっくす

映画の予告カットを見た連れが、「持っている?」と尋ねるので、

『ソロモンの偽証』(宮部みゆき/新潮文庫)の第一巻を渡しました。


「昔の中学生だー。携帯持ってない」

読みはじめた連れは、安心したように言います。


「電話ボックスって、どんなものか思い出すのに時間がかかったよ。

そういえばあったねえ」


透明な壁に囲まれて

扉は内に引き込まれ

夜には電燈が点いて

そもそも名前が不思議です。


思い浮かばない人も多くなった事でしょう。

冒頭の場面です。

丁寧に読むのは良い事ですね。


全六巻ですが。



# by otenki-nekoya | 2015-03-01 21:56 |

水底の魚

寒いので魚が美味です。


「ホウボウってこんなに味が良かったっけ!」


ホウボウだと判りましたか。

判りますよね。

大きな頭と翼のような極彩色の鰭と脚のような鰭がなくても

赤い三角錐のような胴体でその正体は知れる。

このへんでは鯛漁の網についでにかかる魚なので、

気の毒な程安価です。


「ソースがすごく合ってるよ」


骨ごと調理すると出汁がおいしい。

塩をした魚の背の両面に焦げ目をつけたあと、

フライパンの隙間に切ったトマトを敷いて、

蓋をしてじゅわっ、と蒸します。

皿に載せてオリーブオイルEXVを垂らして

刻んだパセリとディルをたっぷりふりかけます。


いわばアサリなしのアクアパッツァ。

トマトはこのへんの園芸農家から出る

規格外のフルーツトマト。


冬と春の出会いの一皿、

年中作れるけれどこの旨味はこの時期限定。


寒さはそろそろ底をうつようです。

日がみるみる長くなってゆきます。



# by otenki-nekoya | 2015-02-07 21:50 |

□□ゑ、浮上

*昔のお仲間への告知です。

 変ですが、符牒ですのでご心配なさいませんよう。



水面がざわめいている。


ざわめいていて当然だ。

海なのだから。


湾の中といえども

波も寄せればうねりもたつだろう。


海の底深く沈んだ神殿が浮かぶ兆しなどではありえない。


そう思い続けていた。


呼び声はもう届かない


──それなのに。


遠く深く見えないところの動きを

水が伝えて波となり足を濡らす。

風が伝えて声となり耳を打つ。





昔々我々が蒔いた遊びの種が、

新しい人々の新しい技によって再び花を開いていたのです。


さあ──ご覧なさい。お聞きなさい。

忘れられた詞『□□の□び□』によって求めるのです。

さらば──開かれん。



 関係者のみなさまへ



# by otenki-nekoya | 2015-02-02 22:57 |

初神者

書店に行っていた連れが

「『古事記』を買って来た」


ええっ、確かに今、池澤夏樹の新訳

(日本文学全集01/河出書房新社)が人気ですが。

「ああそれ、店頭に山積みになってたね」


しかし、いままで神話はもちろんファンタジーは

まったく読まなかった人がいきなり

神の名の羅列に挑戦するのは大変ではないでしょうか。


「だいじょうぶ!買ってきたのは『ビギナーズ・ラック』だから」


‥‥『ビギナーズ・クラシックス』(角川ソフィア文庫)ですね。


# by otenki-nekoya | 2015-01-11 21:58 |

みな人倫を明らかにする所以なり

今年の某公共放送大河ドラマは

番宣では「ホームドラマ」としていたので

ちょっと期待薄になっていたのですが。


「さすが長州だ!学問から入った!」


策略から始まる薩摩と揺れる幕府『篤姫』、

暗殺に始まり暗殺に終わる土佐『龍馬伝』、

滅びるのがわかっている会津『八重の桜』、

いずれも幕末ものは面白かったので、

人材豊富な長州には特に頑張ってもらいたいものです。


文字が空中に浮く演出が『蟲師』や『シャーロック』みたいですが、


 人性の善なるは、なお水のひくきにつくがごときなり。

 人、善ならざることあることなく、

 水、くだらざることあることなし。


一緒に歌おう、ではないですが、思わず『孟子』を唱和していたら、

いきなりヒロインに負けました(訳はドラマ版とは異なります)。

 

 痒とは養なり、校とは教なり、序とは射なり。

 夏に校と曰い、殷に序と曰い、周に痒と曰い、

 学は則ち三代これを共にす。


初回は「本」をめぐる話で、なかなか良かったです。


「子役達も、姿勢まで良く似せてあったねー」

山鹿流に「赤穂浪士か!」と突っ込んだら、ちゃんと

明倫館で「赤穂義士」の戦略について講義している声が入ってました。


ラストには良い意味での「そうせい公」が出て来て、

「この騒ぎは何の記録にも載せぬ」と、

フィクションのストーリーである事を

わざわざ念押ししていくのも笑えました。


しかし連れがドラマを見ながら

「あ、本を捨てた!」

「また本を捨てた!」

と叫ぶのですが、叱っているのではなく、

「捨てる」というのは地方語で「落とす」の意味のようです。



# by otenki-nekoya | 2015-01-04 22:46 |
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日記


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